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株主優待の“ムダ”なくせ!

株主がさまざまな商品や金券などを受け取れる「株主優待」。導入する企業が増えています。一方で、せっかくの優待がムダになるケースもあるということで、今、そのムダを減らそうという珍しい取り組みが始まっています。

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株主優待は知っていますよ。航空会社や外食チェーンの株主が受け取れる優待券なんかが浮かびます。

「野村インベスター・リレーションズ」によると、株主優待の制度を導入している上場企業は、平成30年12月時点で1483社と、過去最多になっている。国内の上場企業の39%に上る計算ね。

優待の内容では、自社の商品などを送る「食品」が最も多く、次いで商品券などの「金券」、住宅の購入費用や保険料などを割り引く「暮らし関連のサービス」となっている。

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日本の企業には、長らく、関係が深い銀行や企業に株式を持ってもらって「安定株主」になってもらう「株式の持ち合い」という慣行があった。でも、特にバブル崩壊以後、株価の下落や時価会計の導入などを背景に、持ち合い株を売る動きが加速。そこで企業は、替わりに個人投資家に安定株主になってもらいたいと考え始め、自社のファンになってもらうために、配当金とは別に、株主優待を活用するようになった。

実は海外では株主優待はあまりなくて、日本独特の制度と言われる。

それは意外でした。株主優待は、個人投資家だけに送られるわけではないですよね?

もちろん企業や年金基金などの機関投資家も優待を受け取っていて、換金して収益として計上することも多い。

例えば「GPIF=年金積立金管理運用独立行政法人」は、平成29年度、株主優待を換金して4億2000万円を運用収益に計上している。

ほかの企業では、食品とか、換金が難しいものは、適切に手続きをしたうえで、クリスマスパーティの景品にした、なんていう例もあるそう。

羨ましいかも!でも、そういうことなら、ムダは生まれませんよね。

そうね。ただ企業の中には、割引券などわずかな収益にしかならないものや、換金が難しい食品などは廃棄してしまうケースもある。また、海外の投資家は、そもそも受け取る権利を放棄することも多いそう。

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そこで、こうしたムダを減らそうという珍しい取り組みが、最近、始まった。証券会社や信託銀行の社員、学者ら10人余りの有志が「株主優待活用プロジェクト」という名のグループを作って、大企業に対して株主優待がムダになる場合、寄付するよう呼びかけ始めたの。

寄付は、連携する財団法人を通じて、貧困家庭や障害者を支援するNPO法人などに幅広く送られるということで、すでに、JT=日本たばこ産業が寄付を決めたそう。

このグループによると、株主優待は年間1500億円相当の規模があり、少なくとも2%程度、30億円相当がムダになっていると見ている。

せっかくの優待、うまく活用するに越したことはないですね。

住所が変わっていて、せっかく優待を送ったのに戻ってきてしまうケースもあるそう。だから、このグループでは「受け取る側」の株主企業だけでなくて、「送る側」の企業にも、今後、協力を呼びかけることにしている。

このほか、日本証券業協会も、会員の証券各社に対して、ムダになる優待の寄付を呼びかけることを検討していて、株主優待の有効活用が広がりをみせるかもね。