NEW2024年01月30日

ブロッコリーも“仲間入り” 指定野菜って?

日々の食卓やお弁当を彩ってくれるブロッコリー。国民生活に重要だとして国が位置づける「指定野菜」の1つに加わることになりました。実は、指定野菜に新たな“仲間”が加わるのは、およそ半世紀ぶりなんです。なぜいま新たに指定されることになったのでしょうか。経済部の永田記者と河原記者が解説します。

そもそも「指定野菜」って何ですか?

「指定野菜」とは、国が、消費量が多く国民生活上の重要性が高い品目として位置づける制度です。

これまでに、キャベツやだいこんなど、14品目の野菜が指定されています。

ここに2026年度から、ブロッコリーも加わることになったんです。

永田記者
永田記者

指定野菜になると、何が変わるんですか?

農業は天候によって収穫量や価格が左右されやすい側面があります。

指定野菜になると、価格が下落した際、大規模な生産者に支払われる補助金が手厚くなります。

このため、安定供給につながることが期待されているんです。

指定野菜に新たな野菜が加わるのは、1974年にばれいしょ(じゃがいも)が追加されて以来、実におよそ半世紀ぶりなんです。

永田記者
永田記者

半世紀ぶりですか!なぜいま、ブロッコリーが追加されることになったんですか。

それはブロッコリーの消費量が、野菜全般の中でも際立って増えているからなんです。

ブロッコリーの主な産地は、北海道や埼玉県、愛知県など全国にあります。

多くの野菜は、人口減少などを背景に、このところの出荷量は減少、または横ばいとなっています。

ところがブロッコリーは、この30年で2倍にまで増えているんです。

永田記者
永田記者

勢いがありますね。

そうですね。

東京・練馬区にあるスーパーでも話をうかがってきました。

このスーパーの秋葉弘道社長は、「1年を通してブロッコリーは売れていると感じるし、この10年で、その売れ行きは一段と伸びているように思います。ブロッコリーは野球で言えばスタメンです。(店にとって)まさに絶対なくてはならない存在ですね」と話していました。

ブロッコリーは野菜の中でも常に売れ筋の上位に入る商品の1つだということで、うかがった店舗でも、店の正面のお客さんの目につきやすい場所で販売されていました。

この店では今シーズン、展開する8店舗で1日におよそ1万個を売り上げた日もあったそうです。

河原記者
河原記者

それはすごい量ですね。

このときは、市場に商品が多く出回り、価格が下がっていたタイミングだったそうです。

ブロッコリーを購入する理由について、店を訪れていたお客さんにもお話をうかがいました。

河原記者
河原記者

「ブロッコリーは栄養価も高く使い勝手がいいのでよく買います」

40代 女性客
40代 女性客

「お弁当や炒め物、サラダなど、使う頻度も多いです。すぐ無くなるので、1週間に何回も買うような感じで、常備しています。歯ごたえもあるし少量でも満腹になりますね」

50代 女性客
50代 女性客

スーパーなどでは、冷凍ブロッコリーも販売されていますね。

確かによく見かけますよね。

流通大手の「イオン」によりますと、健康志向の高まりなどを背景に、手軽に食べることができるブロッコリーは冷凍野菜の中でも1番の売れ筋商品なのだそうです。

年々販売は増えているそうで、大きめにカットしたもの、1袋あたりのボリュームを多くしたもの、オーガニックのものなど、消費者のニーズに応じて、さまざまな商品を展開しているということでした。

永田記者
永田記者

ところで、指定野菜になることで、店頭での価格に影響はあるのでしょうか?

店頭の価格はあくまで市場で決められるため、指定野菜になったからといって、価格が安くなるということではありません。

ただ、指定野菜については、国が需要の見通しを示し、それにそって農家が計画的に生産する仕組みになるため、安定的な流通につながると期待されます。

永田記者
永田記者

ちなみに、次に指定野菜に指定される野菜の“候補”はあるんですか?

もともとブロッコリーは、「指定野菜」に準ずる位置づけとも言える「特定野菜」と呼ばれるグループに位置づけられていました。

今回は特定野菜の中からブロッコリーがいわば“格上げ”された形になっているわけですが、次にどの野菜が指定野菜になるか、現時点では「候補はない。傾向としてブロッコリーのように消費が伸びている野菜はほかに見当たらない」(農林水産省)ということでした。

農林水産省では今後、ブロッコリーの2026年度の追加に向けて、政令の改正など必要な手続きを進めるとともに、生産者に「指定野菜」の仕組みを周知するなど準備を急ぐことにしています。

永田記者
永田記者