マンション修繕積立金なぜ上がる?

大手銀行が住宅ローンの固定金利を引き上げるなど、家の購入にまつわるお金をめぐって関心が高まっています。そんな中、マンションを買ったあとに毎月かかる「修繕積立金」についても、支払額が大きく増えるケースが広がっているとして注目が集まっています。いったいどういうことなの?経済担当の井村丈思解説委員、教えて!

「修繕積立金」といえば、マンションの外壁やエレベーターなど、大規模な修繕工事を行うために備えておくお金ですよね。
実際、どのくらい上がっているのでしょうか。

国土交通省が、新築マンションの修繕計画について調べたところ、最終的に見込まれる支払額が、購入当初に比べ平均で3.6倍に上昇していて、中には10倍を超えるケースもあったということなんです。


どうして、修繕積立金の支払額が、大幅に増えるのでしょうか。
背景には、修繕積立金を将来増やす前提で売り出されるマンションが、近年、多くなっているという事情があります。
修繕積立金は、計画当初に設定した額を一律に徴収する方式もあります。

ただ現在、新築マンションの大半は、当初の支払額を低く設定し、段階的に引き上げる「段階増額積立」と呼ばれる方式を採用しています。
その背景には、分譲の際に当初の月額負担を軽くして売りやすくすることで、入居者を増やしたいという、不動産会社側の思惑もあるとみられています。


それで、修繕工事に必要な資金は確保できるのでしょうか。
国土交通省によると、実際には積立金の残高が、計画に対して不足しているというマンションの割合は2018年度の調査で34.8%と全体の3分の1を占め、5年で2倍以上に増加しているんです。

さらに、最近は、資材の高騰で修繕費自体も上昇しています。
その結果、いざ修繕工事の必要が迫ってきた時にお金が足りず、大幅な増額を余儀なくされるケースも少なくなく、滞納が相次ぐ事態も報告されているということです。


これからマンションを買おうという人は、どんな点を注意したらよいでしょうか。
適切な修繕を行うことは住宅の価値を維持・向上させることにもつながるものです。
修繕積立金の金額の大きさについ目が向きがちですが、単純に安ければ良いという訳ではありません。
ただ、突然大幅に引き上げられてしまうと、家計に大きな負担となりかねません。

このため、まずマンションを買う時には、不動産会社が示す修繕積立金が、今後増える前提なのかどうかをよく確認し、ご自身の住宅ローンや、将来の資金計画と合わせて無理がないか、検討することが大切です。


すでにマンションを購入した人は、どうしたら良いですか。
修繕積立金は、管理組合が定期的に見直しを行うケースが多いです。
残高は十分か、今後どのくらい上がりそうか。
修繕計画の内容をよく確認することも重要です。


マンションの購入は、そう何度も経験しないことなので、将来の修繕のことまで自分だけで判断できるか、不安もありますよね。
その点で、国も動きだしています。

国土交通省は、マンションの適切な管理に支障が出ないよう、修繕積立金など管理計画のガイドラインの見直しに向けて、専門家による検討を今週から始めました。
修繕計画や積立金について適切な目安を設けることに加え、積立金の段階的な引き上げはせず、当初から高めに設定して同じ金額を払い続ける「均等積立方式」の導入を促すことなど 今年度中に議論をとりまとめ、新たなガイドラインを示したい考えです。

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