住宅ローンどうなる?

最近、住宅ローンの固定金利が上がっているというニュースをよく見かけます。7月下旬の日銀の金融政策の見直しと関係しているといいますが、いったいどういうことなのでしょうか。金融担当の西園記者に聞きました。

日銀の金融政策の見直しで、住宅ローンの金利が上がる可能性があるというニュースを見ました。
ただでさえマンション価格も上がっているのに、金利も上がれば不安です。
これから金利がどうなるのか、心配な方も多いと思います。
住宅ローンの金利には大きく分けて、固定と変動がありますが、最近のニュースで取り上げられているのは固定金利の上昇です。
こちらは国債の残存期間を横軸に、利回りを縦軸にとった折れ線グラフです。

固定金利はこの右側に示してある、10年ものの長期国債の金利の影響を受けます。


日銀の金融政策とも関係あるんですよね。
そうなんです。
日銀は7月28日に金融政策の運用を柔軟化し、長期金利の一段の上昇を容認しました。
それまでは、長期金利が0.5%以下となるよう抑えていましたが、事実上、1%までの上昇であれば認めることにしたんです。
この結果、長期金利は8月に入って上昇し、8月23日には9年7か月ぶりに0.675%をつけました。

こうした金利の動きを反映する形で、住宅ローンの固定金利も上がっているというわけです。


固定金利は、どれくらい上がっているのでしょうか。
メガバンク3行は8月31日に、9月から適用する固定金利を発表しましたが、0.1%から0.2%程度引き上げています。
この引き上げ幅、どのくらいの影響があるのかといいますと、たとえば、元本3500万円で、金利差が0.1%あると、35年間の総額ではおよそ70万円の違いが出てきます。
金利差が0.2%だと、その倍ですね。
住宅は価格が高いですし、ローンの返済期間も長いので長期的な負担額でみると大きな金額になります。


なるほど。
それでは変動金利はどうなるのですか?
住宅ローン利用者の7割以上が変動金利を使っているということもあって関心は高いと思います。
変動金利は1年以内の短期金利と連動します。
そして短期金利は、日銀の「マイナス金利政策」の影響を受けます。
日銀はマイナス金利政策を続けているので、今回の日銀の政策の見直しは変動金利には影響しません。
このためメガバンク3行とも変動金利については据え置きとなっています。
ただ日銀が将来、マイナス金利政策を見直すことになれば変動金利にも影響が出てくる可能性があります。


金利は低い方がありがたいのですが…
これまで日本では金利が低い状態が長期化していましたので、これから金利が上がるのでないかと不安を抱くのは当然です。
ただ、金利には景気のバロメーターという側面もあります。
景気がよくなれば金利は上がり、悪くなれば下がるという関係にあります。
景気がよくなり、賃金も上昇して金利が上がるという循環ができれば、貯蓄をしたり、投資をしたりすることで一定のリターンも得られるようになるかもしれません。
金利が上昇した場合に住宅ローンを含めた資金計画をどう立てるのか。
これからは“金利が付く時代”の到来に備えた対応が必要になると思います。

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