NEW2022年11月24日

暗号資産の世界で何が起きた?交換業大手「FTX」経営破綻

暗号資産の交換業大手「FTXトレーディングス」の経営破綻からまもなく2週間がたちます。影響はどれくらい広がっているのか?今後はどうなるのか?アメリカ総局の江崎大輔記者が詳しく解説します。

FTXはそもそもどんな会社なんですか?

FTXは暗号資産の売買や取引を行う大手交換業者でした。

サム・バンクマンフリード氏

2019年の設立から急成長し、日本を含め世界各国で事業を展開。創業者のサム・バンクマンフリード氏がCEOを務め、若き経営者としても注目されていました。

大リーグ、エンジェルスの大谷翔平選手などスポーツ界のスター選手を事業の広告塔にしていたことでも知られていて、私もアメリカでFTXの広告を目にしていました。

江崎記者
江崎記者

なぜ経営破綻したのですか?

いわゆる“取り付け騒ぎ”で資金繰りに行き詰まったとみられます。

きっかけは暗号資産関連のニュースサイトが11月初めにFTXの財務の健全性を疑問視する報道をしたことでした。

その後、別の交換業大手「バイナンス」のCEOが6日、保有していたFTX発行の資産を清算するとツイッターに投稿して経営への懸念が拡大。8日にその「バイナンス」がFTXの買収を検討しましたが、翌日に撤回され、投資家らがFTXから資金を引き出す動きが加速しました。

そして、11日に連邦破産法第11条の適用をアメリカの裁判所に申請し経営破綻しました。法律の適用は日本法人を含む約130のグループ会社に及びます。

江崎記者
江崎記者

どうしてこんなに大きく報じられているのですか?

負債総額が巨額になる見込み、というのが1つの理由です。

FTXが裁判所に提出した資料によりますと、負債総額は推定で100億ドルから500億ドル、日本円で約1兆4000億円から最大7兆円近くになる見通しです。債権者は100万人を超える可能性があり、多くはFTXに資金を預けていた投資家とみられます。

また経営破綻後にCEOを辞めたバンクマンフリード氏については、資金管理に問題があったとされ、経営のずさんさも指摘されています。アメリカの証券取引委員会など金融当局もFTXを調査していると伝えられています。

江崎記者
江崎記者

たくさんの人が投資していたんですね。顧客が預けていたお金はどうなるのでしょうか?

22日に開かれた裁判所の審理でFTX側は、破綻後のサイバー攻撃でかなりの規模の資金が「盗まれたか紛失した」と説明した、とアメリカのメディアは伝えています。

裁判所に提出した資料によりますと、20日時点の現預金は約12億4000万ドル(約1720億円)で、最大500億ドルとも言われる負債総額の見込みに比べると極端に少ない印象を受けます。

また、現預金の内訳をみてみると、日本法人の分が約1億7000万ドル(約240億円)となっています。

日本法人のFTXジャパンは、顧客の資産の海外への流出などは確認されていないとしています。現在は出金を停止しているものの、できるだけ早く出金できるよう準備を進めているということです。

ただ、FTXは債権者である顧客に資産を返却するため、一部の事業の売却手続きを開始していて、日本法人も売却が検討されています。このため、日本の顧客にとっては、売却の手続きの行方も今後の焦点になります。

江崎記者
江崎記者

このFTXの問題、今後どうなりそうですか?

まず、FTXの破綻をめぐる裁判の手続きの中で、顧客の資産の保全や返還がどのように進むかが大事な点です。

暗号資産全体の規制の在り方についての議論も注目されます。アメリカでは、議会下院の金融サービス委員会が16日、FTXの経営破綻と影響について12月に公聴会を開くと発表しました。

前CEOのバンクマンフリード氏など関係者から話を聞く予定だとしています。

また、アメリカのイエレン財務長官も「消費者を保護し金融の安定を促進するために行動することが重要だ」という声明を発表しました。

アメリカの議会などが再発防止のために立法措置に動く可能性もあり、暗号資産業界への規制をめぐる議論が今後、活発になりそうです。

江崎記者
江崎記者