踏み間違えても大丈夫!?車の最新の安全機能って
ブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故。ニュースでよく耳にしますよね。国内の自動車メーカー各社は、いまこうした事故を防ごうと、新たな安全機能を搭載した車を相次いで投入しています。これまでの機能と一体何が違うのでしょうか。経済部で自動車業界を担当する山根力記者、教えて!
車の安全機能というと、渋滞中に目の前の車に衝突しそうな時にブレーキをかけてくれる機能などがありますよね。
それは、「衝突被害軽減ブレーキ」と呼ばれている仕組みですね。車両や歩行者に衝突する可能性がある場合に、自動的にブレーキが作動します。
車のCMで見たことがあります。
実はこうした機能は、車に取り付けられたレーダーやカメラで、周囲の障害物を検知して作動するのが一般的なんです。
これに対して、最近各社が取り入れている新たな安全機能は、「周囲の状況に関係なく、急な加速を抑えることができる」という仕組みなんです。
いったいどういうこと?
たとえば、ホンダが9月に販売した軽自動車の新型モデルには、この機能が搭載されています。
時速30キロ以下の低速で走行している時に、ドライバーがアクセルを急に強く踏み込むと、「ドライバーがブレーキとアクセルのペダルを踏み間違えた!」「誤ってアクセルを強く踏みすぎている!!」と車側が自動で判断します。
そして、運転席にあるディスプレーの表示と音でドライバーに警告します。
仮にアクセルを踏み続けても5秒間は踏み込む前の速度を維持し、そのままアクセルを踏み続けても、時速30キロまでしか加速しない仕組みです。
低速で走行している時に急にアクセルを踏み込んでも、エンジンの出力を抑えて急な加速を防ぐことが出来るということですね。でも、今までも似たような安全機能はあったような気がするのですが。
建物や車など、周囲に障害物がある環境でアクセルを踏み込んだ場合に、急加速を防止する「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」と呼ばれる安全機能は、確かにありました。
でも、新たな仕組みは周囲に障害物がなくても作動します。
駐車場でゆっくり進みながら駐車スペースを探している時や、住宅街の四つ角などで人影を見つけ、ブレーキを踏むつもりが慌ててしまい誤ってアクセルを踏んでしまった場合など、近くに障害物がなくても、急な加速を抑えることができるんです。
でも、坂道で止まっていて発進する時とか、走行中に急な加速が必要なときもありますよね?
実は、この機能が働くには、条件があるんです。たとえ30キロ以下で走っていても、素早いアクセル操作が必要な坂道からの発進や、交差点での右左折時や車線変更時(ウインカー操作で判断)、それに一時停止位置や信号待ちからの発進時には、機能が作動しないよう設定されています。
へー。でも、一時停止や信号待ちからの発進と、ペダルの踏み間違いをどうやって判断しているんですか。
ブレーキから足を離して2秒以上たってから、急にアクセルを踏んだ場合に作動するようになっているんです。この2秒というのがポイントで、実験や過去の事故の分析などから、2秒以内にブレーキから足を離してアクセルを踏んでいる場合は通常のペダル操作と認識するようになっています。
この機能の開発に関わったメーカーの担当者は、「交通事故はヒューマンエラーで起きているということが、さまざまな分析からよく分かってきている。そうした中で、どうしても起きてしまうのがペダルの踏み間違いで、この事故をいかに防ぐかという観点で開発した」と話していました。
この機能、ほかのメーカーでも広がっているんですか。
こうした新機能は、トヨタ自動車ではすでに一部の車種に搭載しているほか、マツダやダイハツ工業も9月に販売した新型車から搭載を始めていて、各社が普及に力を入れ始めているんです。各社は、この機能が広がれば、従来の機能では防ぐことが出来なかった事故も防げるようになるとしています。
また日産なども、運転支援技術の強化などを通じて、さらなる交通事故の防止を目指しています。
「交通事故がない社会」
一昔前であれば、夢物語のように聞こえたかもしれない社会は、技術の進歩によって少しずつ、より現実に近いものになっていると言えるのかも知れません。
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