物価上昇で増えるスキマにバイト

いま、収入を少しでも増やそうと単発のアルバイトを始める人が増えているといいます。人材サービス会社が利用者にアンケート調査をした結果、値上げの影響で生活費を補う目的で単発のアルバイトをしたと回答した人が50%を超えたというデータもあります。経済部でインフレ取材を担当する川瀬直子記者、教えて!

物価の上昇が続く中、収入を増やそうと空いた時間、スキマにバイトをする人が増えているということですが。
はい。取材をさせていただいた神奈川県に住む49歳の男性は妻と小学6年生の息子の3人家族。

送電線の工事などを行う会社で働いています。
物価の上昇を受けて本業の仕事とは別にことし4月から1日や短時間の単発のアルバイトを始めました。

アルバイトは仕事が休みの土日中心でお弁当の製造工場やレストランなどでの仕事で1日あたり4時間から8時間ほど働いて、1か月の収入は5万円ほどになるといいます。


仕事はどうやって探すんですか?
人材サービス会社が運営する専用のアプリに登録し働きたい日や時間に募集している求人を探す仕組みで採用されると面接などの手続きをふまずにその会社と雇用契約を結んで働くことができます。
男性の妻も飲食店のアルバイトが新型コロナの影響でシフトが減ってしまい、同じように単発のアルバイトを始めました。


休みの日にも働くと体力的にも負担が大きいですよね。
そうですね。男性は本業の仕事がいまは、少ない時期だということですが、休日が少なくなる分、厳しいところもあると思います。
ただ、物価の上昇で食費やガソリン代などで1か月の生活費の出費は1万円以上増えて節約だけでは限界があるといいます。
当面の間はアルバイトを続け将来の息子の学費などにあてるため少しでも貯蓄に回したいと話していました。


今後も物価の上昇は続くとみられていますよね。
男性は「今後の値上がりで食費などの負担がさらに増えると考えると不安に思いますが、そうした不安をアルバイトをして取り除いていきたい」と話していました。


物価上昇でアルバイトを始める人はどれくらい増えているの?
男性が登録している東京・豊島区にある人材サービス会社「タイミー」がことし5月に10代から60代までの利用者1万2000人あまりにアンケート調査を行いました。
「値上げの影響によって生活費を補う目的で単発のバイトをしたことがあるか」を尋ねたところ、「ある」と回答したのは51.9%に上りました。
この人たちにさらにアルバイトをしたのはいつ以来かを聞いたところ「5年以上10年未満」は7.1%、「10年以上」は12.2%とあわせて19.3%で物価の上昇をきっかけにアルバイトを始める人が多いことがうかがえるとしています。
会社ではアプリをダウンロードした人は去年のおよそ2倍のペースで増えていてその大きな理由の1つが物価の上昇だとみています。


ほかの会社でも物価の上昇で仕事を探す人は増えているの?
主婦などに求人を紹介するサイトを運営する東京・新宿区にある「ビースタイル メディア」はことし6月「物価の上昇と仕事探し」をテーマにサイトの登録者に調査を行い、655人から回答を得ました。

「物価上昇を受けて、お仕事探しをする気持ちの変化はありましたか」と尋ねた結果、「高まった」と回答したのは68.4%に上りました。
去年1月に行った調査では27.7%だったので大幅アップになります。


物価上昇で仕事を探す人は何を重視していますか?
この調査では「物価の上昇を受けて希望する勤務条件はどう変わりそうですか」と複数回答で聞きました。
「時給を上げる」42%「勤務日数を多くする」24.6%「扶養枠内で稼ぎたい」23.2%「勤務時間を長くする」20.2%などとなっています。
調査を行った会社は今後も食品などの値上げが続くとみられ、主婦層の就労意欲は高い状態が続くと思われるとしています。


物価の上昇は今後も続くとみられますが、賃金の引き上げはどうなっているの?
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によりますと、働く人1人あたりのことし6月の現金給与総額は速報値で去年の同じ月と比べて2.2%増えました。

ただ、物価の変動を反映させたことし6月の実質賃金は去年の同じ月を0.4%下回り、3か月連続でマイナスとなりました。
物価の上昇に対して賃金の伸びが追いついていないんです。


物価が上昇した分賃金が上がればいいのですが。
そうですね。本業の仕事をしながらも副業としてアルバイトをする場合は長時間労働につながる可能性もあります。
そうした課題にも今後、対応が必要だと思います。
物価の上昇で働き方も変化してきていると感じます。
賃上げの動きがどうなっていくのかについても今後も取材を続けます。

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