サボテンが食料危機の救世主!?

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻や干ばつなどの影響で、いま食料危機の懸念が高まっています。
その救世主となるのか、国連の機関が注目している植物があります。それが食用のサボテンです。その可能性を調べてみました。

コロナ禍のガーデニングブームで、サボテンを育て始めた人も多いと思いますが、そもそもサボテンって食べられるんですか?
とげもあって、料理するのが難しそうですけど。
そうですね。一般的に、家などで育てる観賞用のサボテンは食べることができません。
ただ、食べることができるサボテンもあるんです。
それがこちら、ウチワサボテンです。

うちわのように 薄くて丸い形が特徴です。見たことがある方もいるかもしれません。
メキシコやアフリカ北部などでは、こうした食用のサボテンが古くから栽培されてきました。
ステーキや炒め物などとして日常的に食べられています。


なるほど。
でもそのサボテンが食料危機を救うってどういうことですか?
「食用サボテンは世界の食料危機の大部分を救う答えになり得る」こうした声明を2017年に国連食糧農業機関(FAO)が出しました。
2015年にマダガスカルで深刻な干ばつが起きた際、住民や牛などの家畜は、サボテンを食べることで飢えやのどの乾きに耐え、犠牲を最小限に抑えることができました。
こうしたことからFAOでは、サボテンの積極的な栽培を呼びかけるようになったんです。
サボテンは少ない水で育つうえ保水力が高く、年間降水量が200ミリから300ミリでも育つとされています。必要とする水分量は小麦などの6分の1です。
いまロシアによるウクライナへの軍事侵攻に伴って、小麦やトウモロコシなどの価格が高騰しています。食料を輸入に頼るアフリカなどでは影響が深刻です。
こうした背景もあって、いま食用サボテンの注目度が高まっているんです。


雨の多い日本で干ばつは想定しにくいですが、サボテンの生産が盛んな地域はあるんですか?
はい、調べてみたら愛知県春日井市で生産が盛んなことがわかりました。
そのきっかけは1959年(昭和34年)の伊勢湾台風と言われています。
市内の多くの果樹が台風の被害を受けた一方、サボテンは被害が少なかったため、生産する農家が増えたそうです。
今では「サボテンのまち」として積極的にPRしていて、食用サボテンも多く生産されています。

町の飲食店や洋菓子店を取材してみると、サボテンを材料にしたラーメンやアイスなど斬新なメニューがたくさんありました。
春日井市では小学校の給食でもサボテンを使った料理が出るそうです。


サボテンの料理を食べました?
どんな味でしたか?
和食店で焼き鳥の「ねぎま」ならぬ「サボマ」を食べました。

最初の食感はアロエやナタデココのように少しコリッとしつつ、うっすら粘りけもあり、酸味も感じられました。こってりとしたお肉とは相性が良いのではないかと感じました。
そしてこのサボテン、実は栄養価がとても高いそうです。

サボテンの研究を進める中部大学応用生物学部の堀部貴紀准教授に話を聞きました。
まずサボテンはミネラルやベータカロテン、食物繊維が豊富なんだそうです。
そのうえで堀部准教授が注目しているのは、水や栄養をたっぷりためるサボテンの特徴です。水耕栽培で亜鉛や鉄分を吸収させ、高い栄養素を持つ高機能食品として展開できないか研究を進めています。
中部大学 堀部貴紀准教授
「水耕栽培によって食品としての機能性を高めたサボテンを作ろうと研究しています。乾燥地に生えているイメージがあると思いますが、サボテンは意外と水が好きで水だけでも育つんです。人間が食べられて家畜も利用できる。本当にすごい植物です」


水耕栽培ができれば、大量生産も可能になりますし、市場が広がっていきそうですね。
食品以外にも用途は広がっています。
2019年にはサボテンの「レザー」が誕生しました。
メキシコで開発されたもので、乾燥させたサボテンを粉末にし、植物由来の樹脂と混ぜて作ります。

日本では財布のほか、バッグや靴などの製品が販売されています。
耐久年数は10年以上で撥水性が高く、お手入れも簡単だということです。
乾燥や高温に強く、過酷な環境でも育つサボテン。今後、生活のいろんなシーンで目にする機会が増えるかもしれません。

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