NEW2022年07月04日

auなど通信障害 補償はどうなるの?(7月8日更新)

2日未明に発生したKDDIの大規模な通信障害。
全面復旧の発表まで86時間かかり、影響は携帯電話の利用者など最大で3915万回線におよぶなど異例の事態となりました。
長期にわたってサービスが利用できない状態が続いたことで、ネット上などでは利用者への補償対応がどうなるのかといった声も聞こえてきます。会社はどう対応するのか調べてみました。

※7月8日時点の最新の情報をもとに記事を更新しました。

各地のauショップには通信障害が起きてから、復旧の状況を確認しようとする利用者が列を作るなど全国的に影響がみられました。

ネット上でも「通話ができないので高齢の両親のことが心配になり、自宅に直接会いに行った」といった声が聞かれました。

KDDIによりますと、今月5日の時点でコールセンターには9万6700件余りの問い合わせがあったということです。

個人の利用もそうですが、物流などさまざまな企業のサービスに影響が広がり、ネットなどでは会社からの補償対応はどうなるのかという声も出ているようですね。

はい。
KDDIの高橋誠社長は3日の記者会見で、「カスタマーサービスにもたくさんの意見を頂いているが、いま一律に補償するという回答は持ち合わせていない。今回の障害の内容をもう少しみたうえで、補償について検討していく」と述べました。

そのうえで「個人、法人問わずご迷惑をおかけした。お客様はそれぞれの契約で、サービスを提供しているのでその辺も配慮したい」と答えています。

会社が5日に開いたオンラインの記者会見の中でも技術担当の専務が補償について言及し、「影響の範囲を確認していき、お客様に対して補償についても検討する」と述べました。

8日、改めてKDDIに聞いてみましたが、「影響の内容をみたうえで補償を検討していく」という回答でした。検討を続けているものの補償についてどう対応するのかまだ決まっていないのが現状のようです。

今回のように大規模な通信障害が発生した場合の補償対応について、何らかの取り決めはないのでしょうか?

会社の契約約款によると、会社の過失によって5GサービスやLTEなどの通信サービスが「24時間以上全く利用できない状態」となった場合には、利用できなくなった期間分の料金を計算して、損害を補償するという取り決めがあります。

約款では、補償額は過去半年間に支払った料金をもとに1日当たりの金額を算出するとしています。

ただ、それぞれの契約や影響によって事情が異なるだけに補償対応の有無や利用者への還元策も含めてKDDIが今後がどのような検討をするのかは不透明です。

大規模な通信障害に対して、過去に補償が行われたことはないんですか?

じつはKDDIは2013年4月から5月にかけてスマホやタブレット端末の「LTE」の回線が3回にわたって利用できなくなる通信障害が起きた際に、影響を受けた利用者に対して「料金プランの3日分相当として」1人当たり700円を補償したことがあります。

このときは延べ179万台の端末が影響を受け、通信障害が起きた時間は最大で18時間と、約款で定める24時間には満たなかったものの、「利用者へのおわび」として当時の経営判断で補償にあたっていました。

ほかの通信大手でもKDDIと同じように通信障害が起きた際の取り決めがあります。

2021年10月にNTTドコモで起きた大規模な通信障害では完全復旧まで29時間かかりました。ただ、このとき会社は、通信サービスが全く利用できなかった状態は、2時間余りだったと判断したんです。この結果、基準となる24時間に満たなかったとして、個人への補償は行われませんでした。

2018年12月にソフトバンクで起きた大規模な障害ではおよそ3060万人に影響がおよびましたが、こちらも全く利用できない状態が24時間以上連続しなかったとして個別の補償はなされませんでした。

今回も「全く利用できない状態」という基準がポイントとなりそうですが、過去のように経営判断で補償を行う可能性があるのかはまだわかりません。

会社からの対応方針の発表を待つしかなさそうですね。

そうですね。
最後に1つ注意点があります。

過去の大規模障害のケースでは、「通信障害について賠償のお知らせ」「お詫び 先月分請求」といった不審なメールが送られてきたという報告もあります。

個人補償をうたったメールが送られてきた場合、クリックすると偽のサイトに誘導されたりするおそれもあるので、補償をかたった不審なメールにはくれぐれも手を出さないよう注意してください。