NEW2022年07月01日

不動産にも広がる、サブスクの世界

定額制でサービスを利用できる「サブスク」=サブスクリプション。いまこのサブスクが暮らしに身近なところから、さらに広がりを見せています。

サブスクは、最近、いろんな分野で見かけますよね。

ネットを通じた動画や音楽の配信サービスのほか、雑誌や漫画、カフェ、さらに最近では、デパートがブランドものの服のサブスクを始めたり、自動車メーカーが電気自動車をサブスクで提供したりしようという動きもあります。

多くの商品を気軽に試せたり、モノが増えなかったりするところが魅力ですよね。

そのサブスクが、身の回りのモノだけでなく、より幅広い分野に広がっているんです。

その1つが「山」です。

山のサブスクって、どういうことですか?

文字通り、定額で山を思い通りに使えるサービスです。

林業を営む男性が中心となって始めたもので、複数の山の所有者から山林を預かり、管理をしながら会員に開放しています。

東京・檜原村で、東京ドーム10個分の広大な山林を、年会費13万円でシェアして自由に使う事が出来ます。

どんな人がサービスを利用しているの?

6月下旬に取材した時には、都内に住む親子が、うっそうと茂る木々の中で日帰りでキャンプをしたり、小高い丘でテントを張って眺望を楽しんだりする人がいるほか、中には、リモートワークをしている人もいました。

話を聞いてみると「自分の森のように、いつでも気軽に来れるのでありがたい」という声が聞かれました。

それにしても、意外なもののサブスクに着目しましたね。

サービス開始の背景には、山林にまつわる問題もあったといいます。

コロナ禍でアウトドアの人気が高まり「キャンプをするために山を買った」という人も話題になりましたが、忘れてはいけないのが管理の難しさです。

山の管理ですか?

自然の山とはいえ、定期的に草や低木を刈らなければキャンプどころではありません。

さらには、固定資産税や、相続の心配もあります。

実は、国土交通省の調査では、全国の山林の29.8%が所有者が不明で、管理されていない状態になっています。

利用者から見れば、サブスクを利用することで、管理の面倒を避けながら、山を楽しむことが出来るんですね。

山の所有者にもメリットがあります。

サービスを立ち上げた青木亮輔さんは「空間を利用することで、山の持ち主の収入にもつながります。会員制という顔の見える関係性の中で、みんながハッピーになれる、そういう点でうまくつながったかなと思います」と話しています。

山の有効活用につながっているということですね。

さらに、別の不動産でもサブスクが話題となっています。

「別荘」です。

別荘ですか。

月5万5000円で、山中湖や八ヶ岳など、7か所の拠点から自由に場所を選べるサービスです。

キッチンやインターネット環境が完備されたキャビンを使うこともできます。

山梨県の河口湖にある別荘を利用していた、ウェブ関係の仕事をしている神奈川県在住の男性の場合、月に1週間ほど滞在しリモートワークを行っているそうです。

「調味料とかも全部そろってるので、滞在するのに何も困らない感じです」(男性)

このサービスは問い合わせが殺到し、3000人が登録待ちをしている状態だということです。

コロナ禍でテレワークが広がり、レジャー以外のニーズも広がっているのですね。

運営する会社の代表は「手間をかけずいろいろな拠点に通える『軽やかさ』が今の時代のニーズに合っている。都市に住みながら、移住をせずに自然に触れる暮らしができるという生活スタイルを提案していきたい」と話しています。

不動産のサブスク、ほかにも広がっていますか。

紹介した例のほかにも、ホテルや古民家などでサブスクのサービスが登場しています。

日常を離れ、心豊かな時間を手軽に手に入れるための選択肢として、不動産のサブスクにますます関心が高まっているようです。