JRとバス会社の新連携 地方の交通網どう守る

人口減少が進む四国で、鉄道会社とバス会社が前例のない連携をすることになりました。
一部の区間で運賃体系を一体化する計画を進めているというのです。
地方の交通ネットワークを維持するための全国的なモデルになる可能性があるというのですが、何がどう変わるの?高松局で鉄道会社を取材する竹内一帆記者教えて!
どのような仕組みが検討されているんですか?
竹内記者
ひと言で言うと、同じ目的地に行く際、鉄道を利用しても、途中でバスに乗り換えても、同じ運賃体系が適用される仕組みを作ろうとしているんです。
対象となるのは、徳島駅が始発で県南部を走るJR牟岐線のうち、特に利用客が少ない阿南駅から南の一部の区間です。

あくまで一部の区間なんですね。
竹内記者
そうですね。
厳しい経営が続くJR四国は、この区間の運行本数を減らした結果、阿南駅から牟岐駅など南に行く路線は時間帯によっては2時間に1本のダイヤになりました。
一方でこの区間は線路と並行するように徳島県最大のバス会社「徳島バス」が運行しています。

このため、比較的運行本数が多い、徳島駅から阿南駅までは鉄道を利用し、その先はバスに乗り換えてもらえれば利便性の低下を防げると、ダイヤを改正してきました。
でも、運賃が課題だったんです。
どんな課題ですか?
竹内記者
鉄道からバスへ乗り換えた場合、鉄道とバスそれぞれの初乗り運賃を支払う必要が生じてしまいますよね。
それもあって現在は、例えば徳島駅から牟岐駅に行く場合、途中の阿南駅で鉄道からバスに乗り換えると合計1660円がかかります。
同じ区間のJRの運賃は1470円なので、バスに乗り換えると運賃が割高になってしまいます。
この運賃の差を是正しようというのが、今回の目的なんです。

つまり、運賃が安くなるということ?
竹内記者
最終的にどのような料金体系になるかはまだ決まっておらず、JR四国と徳島バスは現在、詰めの協議をしています。
ただいずれにせよ、鉄道からバスに乗り換えた場合、鉄道とバスそれぞれの初乗り運賃を支払うという状態は、解消される見通しだということです。
関係者は「地方で移動の需要自体が減少する中、競合する鉄道とバスが少ないパイを奪い合うのではなく、どう一緒に維持していくか考えていくことが大切だ」と話していました。
鉄道から途中でバスに乗り換える場合は、きっぷは2枚必要なんですか?
竹内記者
いいえ。
阿南駅で降りて、駅前の停留所でバスに乗り換える場合は、JRの乗車券だけでそのままバスも目的地まで利用できるようになるということです。

運賃の一体運用はいつから始まりますか。
竹内記者
早ければことし4月にも始める計画です。
今回のように会社同士が運賃などを調整すると「独占禁止法」に抵触するおそれがあります。
このためJR四国と徳島バスは2020年に施行された「独占禁止法特例法」に基づく認可を目指して、近く国土交通省に申請することにしています。
鉄道とバスが業種を超えて申請するのは、全国で初めてとみられます。
全国に赤字路線は他にもあります。
同じような取り組みが広がる可能性はありますか?
竹内記者
今回の事例がうまくいけば、同様の仕組みで鉄道とバス会社の連携を強化する動きが他の地域でも広がる可能性はあると思います。
四国の試みが地域の交通ネットワークを維持するための新たなモデルの1つとなるか、注目したいと思います。
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