NEW2021年11月04日

ガソリン価格決める!?OPECプラスって何?

ガソリンの小売価格は高止まり。さらに、冬場に欠かせない灯油の値上がりも続いています。こうした石油製品の価格動向に大きな影響を及ぼすのが「OPECプラス」です。

そもそもOPECプラスってどのようなものなのでしょうか。

エネルギーを担当する西園興起記者、教えて!

最近、OPECプラス、ということばをニュースでよく見かけます。
何なのでしょうか?

西園記者

OPECプラスの前にOPECから説明します。

OPECはOrganization of the Petroleum Exporting Countriesの頭文字を取ったもの。石油輸出国機構と訳されます。

OPEC本部

原油の産出国が集まって、これからの生産量をどうするかを話し合う枠組みのことです。サウジアラビアやイラクなどアラブ諸国が中心となって1960年に設立されました。

本部はオーストリアの首都ウィーンにあります。

プラスというからそこに何か国か加わるんですよね。

西園記者

そうです。

ロシアやメキシコなどOPEC非加盟の11か国が加わったのがOPECプラスです。(現在、非加盟で参加しているのは10か国)

こちらは2016年12月に設立することで合意しました。

なぜ、非加盟の国が参加したのでしょうか?

西園記者

国際政治を巻き込んだつばぜり合いが背景にあります。2014年から16年にかけて、アメリカがシェールオイルを増産するようになり、OPECの原油価格に対する影響力にかげりが見えるようになりました。

2016年には国際的な原油取り引きの指標となるWTIの先物価格が1バレル=20ドル台まで下落し、危機感を抱いた産油国が、言ってみれば、ロシアなどに「仲間に加わってほしい」と頼んだわけです。

なぜ、産油国は生産量を話し合うんですか?

西園記者

原油の生産量を調整することで、価格を安定させることがねらいです。産油国としては、できるだけコストに見合った金額で、可能なら少しでも高い価格で原油を売りたいわけですね。

一方、日本のような消費国からすれば原油価格は安いほうがありがたい。互いの要望があるなかで産油国が集まって、「この先、どのくらいの生産量にしていこうか」と、価格が安定する水準を話し合っているわけです。

これだけガソリン価格が上がっているんだから、日本としてはもっと原油の生産量を増やしてほしいですよね。

西園記者

産油国からすると簡単には決断できない事情があるようです。

新型コロナウイルスが世界的に広がった2020年4月には経済活動がストップして、原油需要が急激に減り、原油の先物価格は急落しました。

産油国はあのときの危機意識があり、感染拡大はまだ収まっていない、世界経済はそれほど好調なわけではないと追加増産に慎重な姿勢なんです。

世界経済がまだ回復していないとしてもちょっと慎重になりすぎじゃないですか?

西園記者

産油国の多くは原油の販売が国家収入に占める割合が高いんですね。原油価格の下落は即、国の経済に悪影響を及ぼすだけに及び腰なんでしょうね。

でも、このまま原油価格が高止まりすれば、私たちの生活は苦しくなるばかりです。

西園記者

消費者の立場としてはつらいですよね。ガソリンや灯油、さまざまな石油製品、暮らしへの影響を懸念する声は日増しに高まっています。

日本政府も産油国に増産を要請しているほか、アメリカのバイデン大統領も適切な供給を呼びかけています。

こうした声を踏まえて、産油国がOPECプラスでどう対応するのか、注目です。