NEW2021年10月28日

新幹線グリーン料金値上げ 乗り物運賃どうなる?

26日、JR東日本は新幹線のグリーン車などの値上げを発表しました。背景にあるのが、新型コロナウイルスの影響です。実は、運賃体系を見直す動き、鉄道だけでなく、航空にも広がっています。乗り物の運賃、いったいどう変わるの? 国土交通省を担当している真方健太朗記者、教えて!

JR東日本の新幹線の値上げ、いつからなんですか。

真方記者

JR東日本では、来年(2022年)春を予定しているそうです。

値上げの詳細な日程は、今後発表するそうです。

値上げの対象となるのは?

真方記者

東北・山形・秋田・上越・北陸の各新幹線のグリーン車。

それにグリーン車よりも上級の「グランクラス」などが対象です。

値上げの幅はどれくらいですか?

真方記者

グリーン料金では、2割から最大で3割程度の値上げになります。

値上げの幅は走行距離などによって異なります。

例えば、東北新幹線の東京駅と新青森駅の区間だと下記のようになります。

値上げは新幹線だけですか?

真方記者

そうではないんです。在来線の特急列車も対象です。

例えば、成田エクスプレス。

これまでは、距離にかかわらずグリーン料金は2100円でしたが、値上げ後は2800円となります。

まだ正式には決まっていませんが、首都圏では「東急電鉄」が、関西圏では「近畿日本鉄道」が普通列車の運賃の値上げを検討しています。

なぜこの時期に、値上げの動きが相次いでいるんでしょうか。

真方記者

新型コロナウイルスの影響です。

新型コロナにより旅客需要が落ち込み、各社とも厳しい状況に直面しています。

例えば、JR東日本のことし9月の新幹線と特急の利用者は、感染拡大前のおととしの9月に比べると、3割程度にとどまっています。

この先の需要回復の見透しも不透明だということで、値上げに踏み切りました。

JR東日本が、消費税の導入などに伴う場合をのぞき運賃を値上げするのは、1987年の民営化以降、初めてだそうです。

ただ鉄道会社も、ただ値上げする、という訳ではないんですよ。

いったいどういうことですか?

真方記者

例えば、JR東日本やJR西日本は、時間帯などによって運賃が変わる「ダイナミックプライシング」の導入を検討しています。

朝と夜の通勤ラッシュの時間帯の運賃を高くする代わりに、日中の運賃を安くするといった仕組みです。

導入までには、まだ数年はかかると見られますが、鉄道会社にとっては、混雑が緩和できて、コストも抑えられるため導入を急いでいるんです。

でもその仕組み、混んでいる時間帯しか乗れない人にとっては、やはり値上げになってしまうのでは?

真方記者

そうですね。やはり利用者によっては、実質値上げになってしまうケースもあります。

影響は大きいので、これから丁寧な議論が必要だと思います。

運賃見直しの動きは、鉄道会社だけですか?

真方記者

それがそうでもないんです。

例えば日本航空の場合、再来年・2023年から料金体系を見直すことにしています。

現在、8種類ある早期予約の割り引きの仕組みを集約する計画です。

こうした取り組みで、チケットの販売を効率化して、収益力の改善につなげたい考えです。

ただ場合によっては、これまでよりも運賃が値上がりするケースも出てきそうです。

でも、利用者が“お得感”を感じやすい、新しいサービスも出てきていますよ。

どんなサービスですか?

真方記者

定額で飛行機に何度でも乗れる、いわゆる「サブスクリプション」の仕組みを活用したサービスです。

関西空港を拠点にするLCCの「ピーチ・アビエーション」は、ことし11月の1か月間、国内の33路線すべてを定額で乗り放題にするチケットを販売しました。

え!乗り放題?

真方記者

値段は座席指定などの条件によって変わり、最も安ければ1万9800円から最大でも3万9800円です。

どこでも行けるんですか?

真方記者

北は北海道の女満別空港から南は沖縄県の石垣空港まで。

席が空いていれば人気の路線でも大丈夫だそうです。

それはぜひとも、乗ってみたいです!

真方記者

ただ残念ながら、10日19日の販売当日に、150枚限定の航空券はわずか5時間で売り切れてしまったそうです。

再販売は今のところ未定だということです。

それは残念です。

でもコロナ禍で苦しいのに、どうしてこのような取り組みを?

真方記者

実はこの取り組み、コロナの収束後を見据えた戦略の1つなんです。

“定額で乗り放題”ということであれば、利用客はふだん行かないような路線に乗ってもらえる可能性もありますよね。

地域の観光の活性化にもつながるし、気に入ってもらえれば、再び飛行機に乗る人が増えるかもしれません。

会社としては、こうした取り組みが将来の収益につながる可能性がある、と考えているんです。

緊急事態宣言が解除され、これから人の移動も増えていきそうです。

鉄道会社や航空会社の運賃だけでなく、どんなサービスが出てくるかも注目ですね。