電話リレーサービスって何?
「電話リレー」って知っていますか?耳の聞こえない人が電話を利用しやすくするため、7月から始まる公共サービスです。いったいどんな仕組みなんでしょう?経済部で通信を担当している菅澤佳子記者に聞きます。
「電話リレー」とは、どのようなものですか?
菅澤記者
「電話リレーサービス」は、手話通訳を介してテレビ電話でやり取りしたり、文字のチャットを使ったりして耳が聞こえない人(聴覚や発話に困難がある人)と聞こえる人を電話で双方向につなぐサービスです。
これまで民間の団体が行っていましたが、7月から公共サービスとして始まります。
サービスを実施するのは、国の指定を受けた「日本財団電話リレーサービス」です。警察や消防などへの緊急通報を含め、毎日24時間、365日利用できます。
例えば、子どもが深夜に熱を出したので病院を予約したい、とか、飲食店を予約したいという場合、家族など誰かにかわりに電話してもらわなくても、自分で電話をかけて双方向でやり取りできるようになります。
サービス開始で、耳の聞こえる人に通訳オペレーターを介して電話がかかってくる可能性もあります。
なぜ、公共サービスにするのですか?
菅澤記者
今まで、耳が聞こえない人は、電話を利用したコミュニケーションや行政手続き、緊急時の通報などに困るという課題がありました。
電話リレーのサービスは、以前から民間のモデルプロジェクトとして提供されていました。しかし、より持続的なサービスとして普及させるためには公共サービスにすべきだという声が高まり、2020年に「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律」が成立し、公共サービスにすることが決まったのです。
公共サービスとして多くの人に利用してもらうために、サービスの提供に必要な費用は交付金で支える仕組みです。交付金のもととなる費用は、すべての電話番号を持つ人たちが負担することになっていて、2021年度は1つの電話番号につき年間で7円が「電話リレーサービス料」として上乗せされます。
どうしたらサービスを利用できるのでしょうか?
菅澤記者
耳の聞こえない人がサービスを利用するには、事前に登録し、「050」で始まる専用の電話番号の発行が必要です。
発行された電話番号を通話の相手方にあらかじめ伝えておけば、相手方からも通訳オペレーターを介して電話をかけたり、折り返したりすることが可能になります。
実際に電話をかけるには、スマートフォンやタブレット端末、またはパソコンが必要です。スマホやタブレット端末の場合は、ダウンロードした専用アプリを使います。パソコンの場合は専用のホームページからログインし、相手先の番号を入力します。
登録の受付は6月から始まっていて、下記の2つの方法があります。
- スマホやタブレット端末で専用のアプリをダウンロードし、必要な情報を入力
- 日本財団電話リレーサービスから書類を取り寄せて郵送する(※6月9日時点では準備中のため郵送申し込みはできません。受付開始は日本財団電話リレーサービスのホームページで告知されます)
通話料金は、どうなっているのでしょうか?
菅澤記者
登録した人がサービスの利用に支払う料金は、下記のプランから選べます。
(1)利用時間に応じて、固定電話にかける場合は1分当たり16.5円、携帯電話にかける場合は1分当たり44円の料金を支払うプラン。
(2)ひと月178.2円の定額料金を支払うプラン。 固定電話にかける場合は1分5.5円、携帯電話にかける場合は1分33円で、(1)よりも割安になります。
いずれのプランでも緊急通報やフリーダイヤルは無料で利用できます。
また、耳の聞こえる人が050の番号にかける場合は、通常のIP電話にかける場合の通話料と同じです。
サービスが始まると、あなたの電話や職場にも電話リレーサービスを利用して通訳オペレーターから電話がかかってくるかもしれません。ぜひ、あわてずに対応してください。
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