NEW2021年05月11日

コロナで冷蔵庫の開け閉め増えた?

あなたは1日に何回、冷蔵庫を開けますか?オーブンレンジで何を作ることが多いですか?実は新型コロナの影響で、家電の使い方が変化しているというデータがあるんです。メーカー側は、データの分析結果からうかがえる生活スタイルの変化を商品開発に生かそうとしているというのですが…。経済部の根本幸太郎記者、教えてください!

コロナで家電の使われ方が変化しているんですか?

根本記者

そうなんです。電機メーカーのシャープは、インターネットにつないで使う、いわゆるIoT家電のデータを利用者の同意をえたうえで収集して分析しています。

初めての緊急事態宣言が出された2020年4月のデータを分析したところ、冷蔵庫のドアが開け閉めされた回数は平日の日中の時間帯を通じて前年同月を上回りました。特にランチタイムにあたる正午の時点ではおよそ2倍に増えていました。

オーブンレンジが使われた回数も、平日の正午で前年同月のおよそ2倍に増えていたほか、夜の時間帯は調理の開始時間が早まっていました。

さらに、このオーブンレンジには調理したいメニューを選んで自動調理する機能がありますが、2020年4月は、ゆで卵やピザトースト、焼きそばといった比較的手間をかけずに調理できるメニューが順位を上げたということです。
(調査対象は冷蔵庫、オーブンレンジともシャープの特定の機種のみ)

家電メーカーは家電の使われ方の変化をどう分析しているのですか?

根本記者

メーカーは、在宅勤務の拡大で平日に自宅にいる人が増えたり、食事を短時間で済ませようとする人が増えたりといった生活スタイルの変化がうかがえると分析しています。

2020年の4月は、多くの学校が休校になっていたため、自宅で昼食をとる機会も増えていたと見られます。

こうした分析結果を調理家電向けのメニューづくりや家電製品の開発にいかしていくということです。

IoT家電の事業を担当する中田尋経部長は「データを収集すると顧客がいま求めている使い方、新たな傾向が読み取れるので、顧客の生活の変化にあわせて家電が進化していくことが求められている」と話しています。

いま、家電の販売そのものも伸びていると聞きました。

根本記者

そうですね。

業界団体の日本電機工業会によると、昨年度はエアコンや冷蔵庫などいわゆる白物家電の国内出荷額が24年ぶりの高水準となりました。

また電子情報技術産業協会によると、薄型テレビの出荷台数も6年ぶりに500万台を超えました。

家電量販店の業績も上向いているようです。5月6日に大手家電量販店が発表した昨年度のグループ全体の決算はいずれも大幅な増益でした。

【最終利益】
▽ヤマダホールディングス
▽ケーズホールディングス
▽ノジマ
517億円(前年度比 約2.1倍)
387億円(前年度比 約1.7倍)
528億円(前年度比 約3.3倍)

各社とも郊外の店舗を中心に大型テレビやパソコン、冷蔵庫それに調理家電などの販売が好調でした。

今後も巣ごもり需要は続くと見られていて、家電量販店やメーカーの間でも需要を取り込む競争がますます激しくなっています。

私が取材した神奈川県の店では、昨年度の売り上げが3倍に増えたホットプレートをはじめとする調理家電の売り場を広げ、陳列する商品の種類を増やしていました。

店の担当者は「最近の消費者からは『自宅で家族と食事をする機会が増えたのでホットプレートがほしい』『食材を買いだめするために大きい冷蔵庫に買い替えたい』といった声が聞かれ、“古くなったら買い替える”というこれまでの家電の購入サイクルとは違った需要が生まれている」と話していました。

コロナ禍で現れた消費者の生活スタイルの変化が、今後も各社のビジネスに影響を及ぼしていきそうですね。