年間1万円超ってなぜ? 電気料金への上乗せ

政府が目指す2050年の脱炭素社会。その実現に向けて太陽光など再生可能エネルギーの普及が進んでいます。ただ、その裏側で私たちの家計の負担が増えていることをご存じでしょうか。再生可能エネルギーの普及のために国民が負担する費用が4月分の支払いから標準的な家庭で年間1万円を超えるというのです。一体、どうして?教えて西園興起記者!
太陽光発電などの普及で家庭の電力会社への支払いが増えるというニュースを見ました。なぜですか。
西園記者

電力会社から家庭に送られてくる検針票を見ると「再生可能エネルギー発電促進賦課金」という項目があります。これは、太陽光や風力など、いわゆる再生可能エネルギーの普及のために各家庭が負担している金額です。
再生可能エネルギーから生まれた電力は、「固定価格買取制度」と呼ばれる国の制度によって、大手電力会社が一定期間、決められた価格で買い取ることが義務づけられています。
そして、その費用の多くは、「賦課金」として家庭などが負担する仕組みになっています。
この「賦課金」が4月分の支払いから引き上げられるのです。
なぜ、賦課金が引き上げられるのですか?
西園記者
固定価格買取制度の認定を受けた太陽光や風力発電などの設備の導入が進んでいるからです。

この制度が始まった2012年度は稼働している設備も少なく、1か月の電力使用量を260キロワットアワーと仮定した標準的な家庭の負担額は年間684円でした。
これが発電設備の増加に伴って、毎年、増え続け、新年度は今より1000円余り増え、年間1万476円と初めて1万円を超えることになります。
この10年で実に15倍になりました
年間1万円以上ですか。今後も負担は増えていくのでしょうか。
西園記者
政府は、2050年の脱炭素社会の実現に向けて太陽光発電などに加えて洋上風力などの導入を拡大する方針です。その場合、電力会社の買い取り費用が増え、賦課金の上昇につながります。
ただ、その一方で、今の買い取り費用のおよそ6割は、制度が始まったころに認定された事業用の太陽光発電が占めているため、経済産業省によりますと、それらの買い取り期間が終わる2030年代前半以降は、賦課金が下がり始める可能性もあるということです。
再生可能エネルギーの拡大と家庭の負担とのバランスをどう取るか難しいですね。
西園記者
電源に占める再生可能エネルギーの割合は制度が始まる前の2011年度は10%でしたが、2019年度は18%にまで上昇しました。
ただ、脱炭素社会に向けて太陽光など再生可能エネルギーをさらに普及させるためには事業者の経営努力だけでなく、家庭も一定の負担を負うことは避けられません。
そこで、政府は2022年度から大規模な太陽光や風力などから生まれた電力について、現在の固定価格ではなく、市場価格に一定の金額を上乗せした価格で買い取る新たな仕組みを導入し、負担の抑制につなげようとしています。
再生可能エネルギーの普及と国民負担のバランスはどうあるべきか、私たちもしっかり考えたいですね。
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