SNS停止 ミャンマーで何が?

SNSの停止やインターネット接続の遮断。ミャンマーでクーデターを起こした軍に対する市民の抗議活動が続く中、軍は通信への締めつけを強めています。
SNSをめぐって何が起きているのか、取材にあたっているアジア総局の影圭太記者に聞きます。
ミャンマーではフェイスブックが停止されたと聞きます。なぜそんなことまで行われているんですか?
影記者
ミャンマーでは2月1日に軍がクーデターを起こして全権を掌握した直後から、市民の間で軍への反発が強まり、大規模デモなどの抗議活動が続いています。
この中で駆使されているのがフェイスブックなどのSNSで、特に若い世代の人たちは、スマートフォンを手に活動の様子をSNSで拡散したり、デモの集合場所を共有したりして、抗議活動を全土に広げています。
軍はこうした動きを抑えつけようと、SNSの停止やインターネット接続の遮断といった締めつけを強めているんです。

でも、日本にいるとSNSの停止って想像できません。そもそも特定のSNSを停止することなんてできるんですか?
影記者
軍の具体的な手法は明らかになっていませんが、専門家は「経路ハイジャック」と呼ばれる手法などが使われているのではないかと推測しています。
まず、ミャンマー国内に偽のSNSのネットワーク、例えば、偽のフェイスブックのサイトを作ります。 そして、利用者がフェイスブックにアクセスしようとした場合には、国内の通信会社に命じて、偽のサイトに誘導するという仕組みで、こうすると利用者は本物のサイトにたどりつけなくなり、利用が停止された状態が作り出されてしまいます。
そうなると、軍に対する抗議活動にも支障が出るのでは?
影記者
市民の間では、締めつけをかいくぐって対抗する動きが広がっています。
例えば、VPNと呼ばれる通信の中継サービスの利用が急激に増えています。

VPNは通信データを暗号化してネットワークに接続できるサービスで、VPNを使うと、利用者からの通信は、まず海外にあるサーバーなどの設備とつながります。そして、そこを中継して目的地の通信先にアクセスします。
海外を中継すると、何が起こるんですか?
影記者
ミャンマーにいながら、海外からアクセスが行われた状態になりますよね。このため、国内に作られた偽のサイトへと誘導されずに済み、目的としていたSNSにたどり着くことができるといいます。
カナダの会社が提供するVPNサービスは、ミャンマー国内の利用者が、以前は1日5000人ほどでしたが、クーデター後は300倍以上の1日160万人ほどまで急増しているそうです。

SNSをめぐる軍の締めつけに対する市民の抵抗が、思わぬ利用者の拡大につながっているんですね?
影記者
そうですね。ミャンマーで抗議活動を続ける男性が「スマホさえあれば、活動を続けていくことができる」と話していたのが印象的でした。
香港やタイでも政府当局への抗議デモにSNSが活用され、大勢の参加者が機動的に活動するために欠かせない手段となっています。
こうした国ではSNSはコミュニケーションや広告の手段という役割だけでなく、民主主義をめぐる戦いに必要なツールとなっています。
それだけに、軍と市民のせめぎ合いは今後も激しくなりそうです。
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