コロナ禍でオフィスはどう変わる?

新型コロナウイルスで最も変化したことのひとつが「働き方」ではないでしょうか?テレワークが広がる中、オフィスの役割も見直されています。これからのオフィスはどう変わっていくのでしょうか?経済部で国土交通省を担当する長野幸代記者と真方健太朗記者に聞きます。
オフィス街を歩いていると、以前よりがらんとして寂しい印象があります。テナント募集の貼り紙もよく見かけます。
長野記者
たしかに、貸しオフィスの空室率が上がっているんです。

オフィス仲介大手の「三鬼商事」によると、東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)にある貸しオフィスの空室率は、1月は4.82%。
わすか1年で3.29ポイントも上昇しました。
特にテレワークがしやすいIT系企業が多いとみられる港区は6.54%、渋谷区は5.23%と高くなっています。
これだけ空室が増えると、賃料は下がりそうですね?
長野記者
この半年、下落が続いています。

去年7月の時点で、都心5区の平均賃料は、1坪あたり2万3014円。リーマンショック前の2008年8月より高い水準でした。そこから6か月連続で下落して、1月は2万1846円でした。
オフィスビルの業界では、およそ5%を「自然空室率」と呼んでいます。5%を切れば貸し手が優位、5%より高ければ借り手が優位。
新型コロナの拡大前から開発が盛んだったので、都心のオフィスは総面積が増えています。だから、自然空室率の目安も変わってきているかもしれませんが、ここ半年の賃料の下落は需給バランスの変化を表しているといえそうです。
今後、新型コロナが収束しても、オフィス縮小の流れは続くのでしょうか?
長野記者
専門家は、この流れは続くとみています。テレワークやオンライン会議がなくなるとは考えにくく、“出社”を前提とする働き方には、戻らないというわけです。
貸しオフィスの契約は数年単位が多く、これから更新時期を迎える企業が解約や縮小、移転に踏み切ることも予想されます。
自前のビルを売ってしまう動きも出てくるのでは?
真方記者
すでに、大手広告会社の「電通グループ」のように、本社ビルの売却を検討する動きも出てきています。

新型コロナの影響で業績が厳しくなっている企業も多いので、一等地にあるビルの売却は、資金調達や財務の改善の有力な手段として、検討する動きが広がるかもしれません。
もう、オフィスがいらない時代が来るのでしょうか?
真方記者
業種や職種によりますが、今のような規模のオフィスは不要になるかもしれませんね。当然、自宅ではできない仕事もありますし、改めてオフィスの重要性を認識したという声もあります。
大手の不動産各社も、感染収束後を見据えて大規模なビル開発を継続しています。ある大手の担当者は「都心の利便性が高い場所では、必ず需要は回復する」と強気でした。
ただ、こうした不動産会社も「個室型オフィス」を増やしたり、郊外の駅周辺に、複数の人が使えるワーキングスペースを設けたりと、「脱・都心」の需要を捉える試みに乗り出しています。
これからのオフィスは、テレワークとは違うメリットを感じられるような工夫を競う時代になりそうですね。
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