NEW2021年01月13日

時短営業でテイクアウトどうなる?

飲食店の営業が午後8時までとなり、食生活が外食中心の人の中には、晩ごはんを食べ損ねる「夕食難民」を心配し、持ち帰り=「テイクアウト」に期待をかける人も多いようです。でも、店内の営業が午後8時までなのに、テイクアウトはそのまま対応してもらえるの?
去年の「今年の一皿」にも選ばれたテイクアウトグルメ。緊急事態宣言下で、大手チェーンはどう対応しているのでしょう。経済部の嶋井健太記者に聞きます。(1月13日午後3時時点の取材に基づいています)

年明けに1都3県で出された緊急事態宣言では、飲食店は午後8時までの営業時間の短縮を求められているようです。サラリーマンや学生が「遅くなったので、晩ごはんは外食で」というわけには、いかなくなるということでしょうか?

嶋井記者

飲食店の営業がまったく認められないわけではありません。店内での営業は夜8時までですが、その後も宅配や持ち帰りでの営業は可能です。

実際、ファミリーレストラン最大手のすかいらーくは、グループの「ガスト」や「バーミヤン」で、店舗にはよりますが、最長午後10時まで宅配や持ち帰りの営業を続けています。またロイヤルホストは、需要が見込める一部の店舗で持ち帰りや宅配の営業を続けていますし、牛丼の大手チェーンやハンバーガーチェーン、回転ずしでも、夜8時以降も持ち帰りなどで営業を続けるところがあるんです。

持ち帰り・宅配で午後8時以降も営業する主な外食チェーン

<ファミリーレストラン>
すかいらーくホールディングス(「ガスト」「バーミヤン」など)
ロイヤルホスト(一部店舗)

<牛丼チェーン>
すき家、吉野家、松屋

<ファストフード>
マクドナルド

<回転ずし>
スシロー、くら寿司

けっこういろんな店が持ち帰りニーズに対応するんですね。でも、持ち帰りや宅配だけの営業で店側は大丈夫なのでしょうか?

嶋井記者

そうですね。そこにはいろんな事情があるんです。

私が取材したのは、カウンターに一人用の器具を備え付けて「一人焼肉」の店を展開する「焼肉ライク」。一部の店舗で、夜8時以降、持ち帰りや宅配に絞った営業を続けることを決めました。その背景にあるのが、従業員や取引先への配慮です。

先日取材した東京 新宿にある店舗では、社員やアルバイトが26人働いていますが、この店での収入が減ってしまうと、生活が立ちゆかないという人もいました。

このうち、ライブハウスとアルバイトを掛け持ちしている20代の女性は、「新型コロナの影響でライブハウスは仕事がなくなることも多く、焼き肉店の方で長く働けると本当に助かる」と話していました。

また、この店だけでも肉やコメなどの取引先は15社にものぼるということで、このチェーンの有村壮央社長は、「飲食店向けの卸売り業者は非常に厳しいという話も聞いているので、取引先や店のスタッフのためにもできる限り営業を続けたい」と話していました。

お店も大変ですね。しかしテイクアウトで営業時間を延ばすことで、本当にもうかるのでしょうか?

嶋井記者

実際には難しいと思います。大手のチェーンでも午後8時以降は宅配も持ち帰りも行わず、すべての営業を終了するところも多いんです。ハンバーガーチェーンなど従来から持ち帰りが多い業種でも、午後8時以降の営業を継続するところと、しないところに対応が分かれました。

午後8時以降、持ち帰り・宅配も営業しない主な外食チェーン

<ファストフード>
ケンタッキーフライドチキン
モスバーガー

<ファミリーレストラン>
サイゼリヤ

<コーヒーチェーン>
スターバックスコーヒー
ドトールコーヒー

持ち帰りや宅配を止めるチェーンに理由を聞いたところ、従業員の感染リスクを減らす必要があること、テイクアウトが売り上げに占める割合が大きくないことなどを理由にあげていました。

新型コロナが広がってから、飲食店は感染対策のためにさまざまな対応を求められ、なんとか売り上げを確保しようと宅配や持ち帰りに乗り出す店舗が数多くありました。ただ今回の時短要請への対応を見ると、店内がダメならテイクアウトをすればいいという簡単な話ではない、厳しい実態も見えてきています。