コロナ禍で好業績のワケとは?

新型コロナウイルスの影響で多くの企業が業績悪化に苦しんでいます。ところが、逆に新型コロナの影響もあって業績が伸びている企業が関西にあるというのです。過去最高益や株価の最高値!いったい何をどうしたらこんな厳しい経営環境でうまくやれるのでしょうか。関西で取材している京都放送局の柴田明宏記者と大阪放送局の小野志周記者に聞きます。
新型コロナのなか、最高益をたたき出した企業が関西にあるそうですね。
柴田記者
その1つが京都に本社がある任天堂です。11月5日に発表された4月から9月の中間決算では売り上げは前年同期比で73%増の7695億円。さらに最終利益は3.4倍の2131億円。中間期として過去最高になりました。
コロナ禍で過去最高益とはすごいですね。なにが要因なのですか?
柴田記者

“あつ森”効果がなんといっても大きいですね。“あつ森”とはゲームソフトの名前で「あつまれ どうぶつの森」の省略形です。
ことし3月20日に発売となり、ゲームメディア「ファミ通」によりますと、発売からわずか3日で国内で188万本が売れたと推計しています。記録的なヒットはその後も続き、これまでに累計で2604万本が売れて、これが決算に大きなプラス影響を与えました。
なぜそんなに爆発的に売れたのでしょう?
柴田記者

まずはゲームの中身ですね。このゲームはアバターを使ったシミュレーションゲームです。無人島を舞台に、自然から得た材料で必要なものをつくって暮らしを充実させていくことで仲間が増えていくという設定です。
アバターに好きな服を着せたり、フェイスペイントを施したりできるほか、「たぬきマイレージ」というポイントをためると拡張機能を購入でき、自分ならではの世界観で楽しめる点が受けたようです。
そして、タイミングです。発売後数週間で新型コロナの緊急事態宣言となり、外出を控える消費者のニーズ、いわゆる「巣ごもり需要」にぴったりあったというわけです。
これをきっかけに、ゲーム機「ニンテンドースイッチ」と「ニンテンドースイッチライト」も、4月から9月の半年間で1253万台も販売。2017年の発売以降で累計の販売台数は6830万台となり、あの「ファミリーコンピュータ」の6191万台を上回りました。
今年度1年間の最終利益の見通しは、これまでの2000億円から3000億円に上方修正し、2008年度の2790億円を超えて過去最高に達すると見込んでいます。
この好調さは続きそうですか?
柴田記者
オンラインでの会見で、古川俊太郎社長は、10月も“あつ森”人気はまだ続いていて、「ニンテンドースイッチ」の販売が伸びているほか、一時期追いつかなかった生産ペースも維持できていると強調しました。
新型コロナウイルスの猛威は引き続き世界で広がっており、当面、巣ごもり需要を背景に好調さは続きそうです。
関西で業績好調なもう1社とは?
小野記者
ここからは小野が担当します。
それは大阪 堺市に本社がある自転車部品を製造する「シマノ」です。知る人ぞ知る大阪発の世界企業なんです。

自転車好きにはよく知られたブランドですよね。
小野記者
そうなんです。この会社、自転車の変速機やブレーキ、ホイールなどの部品を製造していて、特にスポーツタイプの自転車の部品では圧倒的シェアを誇ります。

SMBC日興證券によると7割から8割の世界シェアを獲得していて、世界最大の自転車レース「ツール・ド・フランス」でも選手たちから熱い支持を受けているといいます。
なぜ業績がいいんでしょう?
小野記者
もともと世界的に健康ブームなどから自転車の需要は上向きでした。そこにコロナショックが加わり、電車やバスでの通勤・通学を避けて自転車を使いたいという人が急増したのです。
10月27日にシマノが発表したことし1月から9月末までの9か月間の決算では最終利益は前の年の同じ時期より10.4%増えました。また、1年間の業績予想で最終利益を583億円から643億円へと、これまでよりおよそ10%上方修正しました。先行きも好調という発表を受けて、株式市場では「シマノ株」への買い注文がふくらみ、株価は一時、上場以来の最高値をつけました。
驚くべきは時価総額です。なんと、あの日産自動車を抜いてしまったのです。
ええ?びっくり!
小野記者
2輪(自転車)の部品メーカーが4輪の完成車メーカーを抜き去ってしまったわけです。まさに快走ですね。需要がある製品で、世界シェアが高い、つまりはライバルが少ないというのは大きな強みですね。
また、シマノは特殊な製造方法を確立したことでコストをおさえたうえで精密な部品を大量生産できる点が競争力を高めているといいます。
どの企業にとっても一朝一夕に業績をよくする方法はそう見つからないでしょうが、日頃から自社の強みをとことん磨き上げることが大事なのだと感じました。
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