NEW2020年10月07日

ネットバンキング使わないと手数料?

三井住友銀行が、来年4月以降、インターネットバンキングを利用しない顧客から、年1100円の手数料をとることになりました。こうした新たな手数料の設定は、ほかの銀行にも今後広がるのでしょうか。銀行業界を担当する渡邊功記者、教えて。

そもそもどういう人が手数料を払わなければならないの?

渡邊記者

来年4月以降に新たに口座を作った人のうち、ネットバンキングを使わず、長期間、口座を利用していない人です。

三井住友銀行では、個人で新しく口座をつくった人は、だれでもネットバンキングを使えます。ただ、利用する場合にはサービスを受けるための手続き、具体的には「SMBCダイレクト」の利用設定が必要になります。

新たな手数料は、この利用設定をしていない人が対象です。ただし残高が1万円以上あり、2年の間に1回でも窓口やATMでお金を出し入れした人は、対象にはなりません。

紙の通帳を発行する人も手数料を払う必要があるの?

渡邊記者

来年4月以降に口座を開設した人が対象で、手数料は年550円です。ネットバンキングを使わない人の手数料も、紙の通帳を発行する人の手数料も、いずれも18歳未満と75歳以上の人は対象外です。

利用者にとっては負担が増えることにもなりますが、銀行側のねらいは?

渡邊記者

取り引きのデジタル化を進めながら、コストを削減することです。新型コロナウイルスの感染拡大で、いまさまざまな業界で、業務のデジタル化を進め、人との接触機会を減らすと同時に業務を効率化しようという動きが強まっています。銀行業界も同様です。わざわざ店舗に行かなくても、ネットやスマホで取り引きや明細、口座などの確認ができれば、感染のリスクも抑えられます。

加えて、銀行側としても店舗やATMの維持にかかる費用を減らせるというメリットもあります。

新たな手数料を設定する動きは、ほかの銀行にも広がりそうなの?

渡邊記者

広がっていくと思います。長期間入出金がない口座への手数料は、りそな銀行や一部の地銀などがすでに導入しています。

また紙の通帳を発行する際の手数料も、みずほ銀行が来年1月から70歳未満の人が新たに口座を開設する場合、1100円の手数料を取ることを決めています。

銀行業界は、長引く超低金利で、本業の貸し出しなどで収益をあげることが難しくなっています。このため取り引きのデジタル化によってコストの削減につなげようという動きはさらに広がりそうです。