広がる?マイナポイント
9月1日から「マイナポイント」の制度が始まりました。マイナンバーカードを持っている人を対象にキャッシュレス決済で最大5000円分のポイントが還元されるこの制度。皆さん、どうやったら還元を受けられるか知っていますか?経済部の仲沢啓記者、教えて!
そもそも「マイナポイント」って何ですか?
仲沢記者
マイナポイントは消費税率の10%への引き上げで、景気が落ち込まないようにする国の対策の1つです。「キャッシュレス決済」と呼ばれるクレジットカードで買い物をしたり、電子マネーで現金をチャージしたりした時にその金額の25%が買い物に使えるポイントとして手元に戻ってくる制度で9月1日から始まりました。
ポイント還元の上限は5000円分。来年3月末までの間に金額の合計が2万円になるまで還元が受けられます。
利用するにはマイナンバーカードを使ってインターネットで事前の申し込みが必要です。さらにポイント還元を受ける決済サービスを1つだけ選ぶ必要があるんです。
どうやって申し込むんですか?
仲沢記者
マイナンバーカードを読み取る機能があるスマートフォンかカードリーダーに接続したパソコンが必要です。スマートフォンでは専用のアプリで、パソコンでは専用のホームページでそれぞれ手続きを行えます。
ただ、申し込みに必要な機器を持っていない人は、総務省が各地に設けている「マイナポイント手続スポット」で申し込めます。およそ1500の市区町村の窓口や、郵便局、コンビニの「セブン‐イレブン」や「ローソン」の店舗、携帯大手の「KDDI」や「NTTドコモ」、「ソフトバンク」の販売店など合わせて9万か所以上に設けられています。
どんな手続きが必要なんですか?
仲沢記者
まず、マイナンバーカードの情報を読み取って、カードを作成した時に設定した4桁の暗証番号を入力します。そのうえで、クレジットカード、交通系などの電子マネー、スマートフォンのQRコード決済など100余りの決済サービスの中から1つだけ選びます。最後に再びマイナンバーカードを読み取って4桁の暗証番号を入力すると手続きが完了です。
ちなみに一度サービスを選択すると、その後の変更はできない仕組みになっています。
変更ができないとなると、慎重に決済サービスを選ぶ必要がありそうですね。
仲沢記者
そうなんです。決済サービスを1つだけしか選べないため、決済サービスの事業者の間では利用者を囲いこもうと、さまざまなキャンペーンを展開しています。
総務省のまとめではおよそ40のサービスで独自のキャンペーンを打ち出しているということです。
どんなキャンペーンをしているんですか?
仲沢記者
ポイントの還元率を上乗せしているものや、一定のポイントを提供するものなどさまざまです。
このうち、大手スーパー「イオン」の電子マネーでは現金2万円をチャージすると、制度で受け取れる最大5000円分のポイントに加えて、最大2000円分のポイントを上乗せしています。このスーパーの千葉市の店舗では、朝からマイナポイントの申し込みをしたり、ポイントの還元を受けるため電子マネーに現金をチャージする人の姿が見られました。
また、滋賀県は最大で1000円分のポイントを上乗せする独自の事業も始めていて、事業に参加した彦根市に本社を置くスーパー「平和堂」では「マイナポイント」をPRする特設コーナーを設け、制度を利用するよう買い物客に呼びかけていました。
申し込みが殺到しているのではないですか?
仲沢記者
申し込みが進んでいるとは言えないんです。総務省によると8月末までに申し込みを済ませた人は393万人余りです。そもそも制度の申し込みに必要なマイナンバーカードの交付枚数が2457万枚、交付率にして19.3%にとどまっています。
千葉市のスーパーで買い物客に話を聞くと、「マイナンバーカードは持っているし、還元額は大きいとは思うが、マイナポイントの申し込みがめんどくさそうでやっていない」とか「わざわざ役所に行くのが面倒なので、マイナンバーカードの申請はするつもりがない」といった声が聞かれました。
また、大阪 北区の「天神橋筋商店街」では、商店の経営者や利用客から「制度がわからない」とか、「周知が不足しているのではないか」といった声も聞かれました。
マイナンバーカードの普及を進める立場の総務省では年末までにカードを取得してマイナポイントを申し込んでほしいと広報活動に力を入れていて、来年3月末までにマイナンバーカードの交付枚数が6000万枚以上になると見込んでいます。
しかし、国民の間ではマイナンバーカードの申請をためらう声も根強くあるため、景気対策としての実効性に加え、国が推進するマイナンバーカードの普及にまでつなげるには多くの課題がありそうです。
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