手に入りやすくなるの? アルコール消毒液

マスクに続いて、アルコール消毒液の転売が5月26日から法律で禁止されました。新型コロナウイルスと関連して、転売禁止となったのはことし3月のマスクに続く2例目ですが、今後アルコール消毒液は手に入りやすくなるのか?生活関連物資に関わる国の政策を取材している経済産業省担当の永田真澄記者に聞きます。
どうしていま、アルコール消毒液の転売が禁止されたんですか?
永田記者
転売目的で買い占める行為をやめてもらうためです。
ドラッグストアなど店舗では消毒液が品薄となっている中でも、フリマアプリやオークションサイトなどでは売られていましたが、問題は価格です。転売禁止の直前には、あるサイトで大手メーカーの消毒液が通常の価格の4倍で取り引きされる例もありました。
政府はこれまでサイトの運営会社に「出品の自粛」を要請し、会社側も取り組んではいましたが、強制力がないため高額での出品はなかなかなくなりませんでした。

また、経済活動の再開に伴い、消毒液の需要が高まることも背景にあります。各業界が取りまとめている感染防止のガイドラインでは、飲食店やオフィスなどでも、消毒液の配置が盛り込まれていて、市場に出回るようにする必要があるのです。
禁止の対象になるのはどういうものですか?
永田記者
対象は、消毒用エタノール、手指消毒液、ハンドソープなどの医薬品、医薬部外品。そのほか、エタノール濃度が60%以上の場合には、除菌シート、除菌タオル、食品添加物、酒なども含まれます。
厚生労働省は、エタノール濃度が60%以上であれば、消毒に一定の有効性が認められるため、医療現場で使用しても差し支えないという立場で、その基準に即した規制です。
個人・業者が、仕入れ価格より高値で、ネットや店舗で転売した場合、1年以下の懲役、もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が科されることになります。
転売が禁止されることで、手に入りやすくなるのでしょうか?
永田記者

単に転売を禁止するだけでは不十分で、メーカーも増産に取り組んでいます。アルコール消毒液は去年の1か月当たりの平均生産量が96万リットルでしたが、5月は610万リットルと、およそ6倍に増える見込みですし、海外からの輸入も大幅に増えています。
しかし、今は手や指だけでなく、ドアノブや手すり、食器など、あらゆる場所の消毒が求められ、爆発的な需要を満たすには至っていません。
そこで、注目されているのがアルコール消毒液の代替品の活用です。
どんなものが代替品として使えるんですか?
永田記者
経済産業省から委託を受けたNITE=製品評価技術基盤機構などが効果の検証を進めています。その結果、家庭用の洗剤に含まれる7種類の「界面活性剤」が消毒に有効だと確認されました。
ホームページでは、対応する商品として140の洗剤のリストも公開しています。
ただし、注意点としては手や指、皮膚には使えません。あくまでドアノブなどのモノの消毒に使うよう呼びかけています。
こうした代替品の活用が進めば、アルコール消毒液の需要増加を抑えることにつながると期待されます。
通販サイトではまだ高額の商品も多いですが、価格はどうなるんでしょうか。
永田記者
断言することはできませんが、先に転売が禁止されたマスクの動向が参考になると思います。マスクも、メーカーの24時間操業や新規参入による増産、輸入の増加、転売の禁止、それにアパレルやスポーツ用品メーカーが得意の繊維製品を使った代替品の生産に乗り出したほか、家庭などでも手作りマスクの活用が進みました。
こうした効果で、徐々にではありますが店頭に商品が並びはじめ、価格も下がってきています。

例えば、東京 新宿区にあるJR新大久保駅周辺では輸入雑貨の販売店などおよそ20店舗がマスクを販売していますが、4月上旬には不織布を使った使い捨てタイプが1箱3000円から4000円程度でしたが、5月中旬には最も安くて2000円、平均では2500円前後。それが2週間後の5月下旬には、最も安くて1000円、平均でも2000円を下回る水準まで急速に値下がりしていました。
アルコール消毒液も、「増産」、「転売禁止」、「代替品の活用」によって、マスクと同じように価格が下がる傾向に向かうと見られます。
新型コロナウイルスとの闘いが今後も続くと見込まれるなか、感染防止と経済活動の両立のために、消毒液やマスクは欠かせないものです。身近な代替品もうまく活用しながら乗り切る工夫が必要となりそうです。
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