NEW2020年02月17日

なぜ予想より悪く?GDP大幅マイナス

17日に発表された去年10月~12月のGDP=国内総生産は、年率に換算すると実質でマイナス6.3%で、5期ぶりにマイナスに転じました。マイナスの幅は、5年半ぶりの大きさで、市場の事前の予測を上回る大きさになりました。なぜこれほどの大きなマイナスになったのか、景気は大丈夫なのか、経済部の影記者に聞きます。

今回発表されたGDP、予想より大きなマイナスだったんですか?

影記者

そうです。去年10月に消費税率が10%に引き上げられた後のGDPなので、民間の調査会社各社も、マイナスに転じると予測していました。11社の予測の平均は、年率に換算した実質でマイナス3.7%。結果はマイナス6.3%で、事前の予測と比べると2.6ポイントもマイナス幅が大きくなったのです。

西村経済再生担当大臣も、会見で「ある程度の落ち込みは覚悟していたが、正直、私の想像より大きい数字になった」と話したほどです。予想以上に悪いGDPに、「日本の景気は大丈夫なのか?」という懸念が広がって、東京株式市場では、午前9時の取り引き開始直後から多くの売り注文が出ました。

なぜそこまでマイナス幅が大きくなったのでしょうか?

影記者

GDPの半分以上を占める「個人消費」が、3か月間の実質でマイナス2.9%と大きく落ち込んだことが大きいです。民間の予測の平均はマイナス2.1%だったので、落ち込みは予想以上だったと言えます。

増税後に自動車や家電製品、化粧品、それからアルコール類などの販売が減少。さらに、台風などの災害や、暖冬による冬物の衣料品などの販売不振も重なり、消費は伸びませんでした。

それに、内需のもう1つの柱となっている「企業の設備投資」も、事前の予測の平均がマイナス1.8%でしたが、結果はマイナス3.7%。海外経済の減速で企業が投資に慎重になったことに加え、増税の前の駆け込み需要の反動が、設備投資にも起きていたのではないかという見方もあります。

政府は消費税増税にあたって景気対策は十分だと言っていましたよね?

影記者

政府はキャッシュレス決済のポイント還元や、自動車税の恒久的な減税など2兆円を超える規模の景気対策を行って、景気の落ち込みを抑えようとしてきました。ですが、これほどの景気対策を打っても、結果は大幅なマイナスになってしまいました。

前回の増税の幅は3%だったのに対し、今回の増税の幅は2%と小さい上に軽減税率も導入されました。にもかかわらず、これほどの落ち込みとなった今回の結果は、賃金の伸び悩みや社会保障などの将来不安もあって、消費意欲がそもそも弱まっていることを表しているのではないか、より深刻な受け止めが必要ではないか、という声が民間のエコノミストの間から出ています。

日本の景気、これからどうなるのでしょう?

影記者

政府は、去年10月~12月のGDPはマイナスになっても、1月以降のGDPはプラスに戻るという見通しを持っていました。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大の影響も広がり続けていて、楽観的な見通しは持てないのが現状です。

民間のエコノミストの間からは、新型コロナウイルスの影響が長期化すれば、内需や輸出にも悪影響を与え、1月~3月のGDPもマイナスが続く可能性があるという指摘が早くも出始めています。

仮に2期連続でGDPがマイナスとなれば、欧米では「リセッション=景気後退期」と見なされます。戦後最長の景気回復が続いているとされている日本経済ですが、厳しい局面を迎えそうです。