春闘って何?

毎年この時期になると、よく耳にする「春闘」ということば。ことしは暖冬とは言え、まだ寒いのになぜ「春闘」?いったい、何を闘うの?経済部の林麻里代記者に聞きます。
そもそも春闘って何ですか?
林記者

ひとことでいうと、労働組合が、企業の経営側と賃金引き上げなどを交渉することです。2月から3月にかけて本格的な交渉が行われることから、春闘とよばれています。
いまから65年前に炭鉱などの産業別の組合が「給料を上げてほしい!」と企業側に一斉に要求したことから始まったとされています。労働者側が団結して交渉したほうが、要求が通りやすいというねらいがありました。かつては、交渉が決裂して組合側がストライキに踏み切ることもあったんです。
私たちの給料を決める、大事な交渉なんですね。「ベア」っていうことばもよく聞くんですけど、そもそもベアって何ですか?
林記者
「ベースアップ」の略で、給料のベース、つまり基本給を引き上げることです。

年齢や勤続年数に応じて昇給する「定期昇給」とは異なり、ベアは給与水準そのものを引き上げることをいいます。
かつては、すべての社員を対象に基本給を引き上げることが一般的でした。しかし、ここ数年は若い世代に限定して基本給を引き上げたり、仕事の成果に応じて差を付けたりする企業も増えています。
ベアにこだわって交渉をする組合もあるとききました。どうしてですか?
林記者
基本給は、多くの企業にとって、ボーナスや時間外手当てを算定する際の基準になっています。ベアが行われると、それに連動してボーナスや手当も上がることになります。働く人にとってはうれしいことですが、企業にとっては、将来にわたって人件費全体が増えることにもなります。
ベアを行うということは大きな経営判断でもあり、労使交渉の大きな焦点となります。
「官製春闘」ということばも聞きますが?
林記者
今の第2次安倍政権は、デフレからの脱却を目指して、経済界に対して繰り返し賃上げを要請してきました。給料があがれば、消費も拡大し、企業の業績も上向く。
こうした「経済の好循環」を実現するために、政府が、賃上げのいわば旗振り役を果たしてきたんです。こうしたこともあってか、賃上げ率は2014年から2%を超えています。
ならばことしはオリンピックもあるし、賃上げは期待できそうですね?
林記者

決して楽観できる状況ではありません。去年の企業の中間決算では、アメリカと中国の貿易摩擦の影響もあって、製造業の中には減益、つまり利益が減るところも相次ぎました。経営側は、賃上げそのものは容認していますが、「個々の企業の実情に応じて」という条件を付けるのも忘れていませんし、一律の賃上げには消極的です。
連合はベアに相当する分として2%程度の賃上げの要求を掲げ、賃上げにこだわって交渉に臨む方針ですが、世界経済は成長の勢いが鈍ってるうえ、足元では新型コロナウイルスの感染拡大で、経済に悪影響が出ることへの懸念が強まっています。
先行きの不透明感も増しているだけに、ことしの労使交渉は例年にも増して厳しい交渉になりそうです。
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