なぜいま? “ノンアル”が人気

10月に消費税率が引き上げられてデパートや外食などでは売り上げが減る影響が出ていますが、意外なものが売れ行き好調なんです。それはノンアルコール飲料。なぜいま、ノンアルなの?大阪放送局の太田朗記者教えて!
なぜ消費税率の引き上げとノンアルコール飲料が関係あるんですか?
太田記者
消費税率の引き上げによってアルコール類は消費税が10%になりましたよね。でも、ノンアルコール飲料は軽減税率の対象なので8%のままなんです。この2%の差が大きいんです。
確かにスーパーに行くと食品の税率は変わらないけどアルコール類は値上がりしたもんなあ。
太田記者
興味深いデータがあるんです。ノンアルコール・ビールの10月の販売数量は推計ですが、業界全体で前の年の同じ時期と比べて16%も増えているんです。
もともと健康志向の高まりでノンアルコール・ビールの需要が高まっているところに消費税率の引き上げが加わったものだから、にわかに注目が集まったんですね。
ノンアルコール・ビールって以前は味が微妙だなと思っていたのですが、最近はずいぶんおいしくなりましたよね。
太田記者
ほかにもノンアルコール梅酒とか、ノンアルコール・ハイボールなども登場しています。さらに、日本酒でもノンアルコールの商品があるんです。
え?日本酒でノンアル?
太田記者

はい。創業380年を超える京都の老舗酒造メーカー「月桂冠」ではノンアルコールの日本酒をつくっています。ことし8月には大吟醸の味に近づけた商品を発売。酒造メーカーの担当者は消費税率の引き上げをきっかけに売り上げを伸ばしたいと話していました。
私は飲むなら本物のお酒を飲みたいなと思うけど居酒屋とかバーとかお酒を取り扱う外食は消費税率引き上げの影響を受けているんですか?
太田記者
10月以降客足が遠のいたという店が結構あるようです。大阪市内のバーを取材で訪れたら、店主は「来店する客が減っていると感じている」と話していました。
ところがただでは転ばないのが商人の町、大阪のバー。昼の世界に飛び出してノンアルコールの飲料を販売するお店を9月にオープンしました。こちら一見すると、ジントニックやモヒートなどのカクテルに見えますが。実はこれ、すべてノンアルコールなんです。

へー。本物に見える。
太田記者
見た目だけではありません。ハーブやスパイスを使い、アルコール飲料のピリッとした刺激や、血の巡りがよくなって体が温まる感覚を再現しました。
こうした本物そっくりのカクテルをモクテルといいます。疑似を意味するMock(モック)とCocktail(カクテル)を組み合わせた造語ですが、海外の英語ニュースにも登場するきちんとした英語です。
あれ、そういえばノンアルコールでもレストランで出したら消費税は10%になるのでは?
太田記者
そのとおり。なので、このバーの店主はちょっと知恵をしぼって外食扱いされないテイクアウト専門のお店にしたのです。

テイクアウトならスーパーで飲料を買うのと同じなので軽減税率の対象となり、消費税率は8%。取材中、男性客がまるでアイスコーヒーのコップを持つかのようにモクテルを購入し、おいしそうに飲みながら持ち帰っていました。
今後、お酒の売れ行きってどうなるんでしょう?
太田記者
専門家は消費者のお酒の消費動向は二極化すると分析しています。節約志向が続くなかで、しこう品であるお酒は家計簿のなかで削りやすいものの筆頭だというんですね。そうしますとお酒をやめる人、あるいはノンアルコール飲料に切り替えて出費を抑える人が出てくる。
一方で、手早く、安く酔いたいという人はストロング系と呼ばれるアルコール度数の高いチューハイやビールを選ぶ、この2つのグループに分かれるというんですね。消費税率の引き上げはこの傾向を加速させているということなんです。
消費税率の引き上げによってうまれた2%の税率の差。ノンアル飲料が消費者の自宅の冷蔵庫で主役となるのか、今後の動向を注目したいですね。
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