NEW2019年10月30日

そもそも「cookie」って何なのよ

公正取引委員会が、インターネット上の「cookie」という電子情報が規制の対象となり得るという見方を示したということだけど、今回はネットでよく見かけるこの「cookie」について。「クッキー」と読むんだけど、お菓子のことではなくて、ネットを利用するには欠かせない技術らしい。そもそもcookieって何なの?経済部の嶋井健太記者、お願いします!

先日、スマートフォンを操作していたらこんな画面が表示されました。

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「当社のウェブサイトは、利便性の向上などを目的に、cookieを使用しています。同意いただける場合は、このボタンを押して下さい」

同意しないと、ページを見続けることはできないので、「続行する」を押してしまったのですが…。
そもそもcookieって何なんですか?

嶋井記者

cookieとは、パソコンやスマートフォンで見ているサイトから送られてくる情報やその情報を保存する仕組みのことです。
例えば、SNSのサイトにもう1度アクセスするときにはIDやパスワードを入力しなくてもスムーズに入ることができます。

また、クレジットカードでネットショッピングをするときに商品をカートに入れたまま画面を閉じても、もう1回アクセスしたときにはカートに商品が入ったままになっています。
実は、最初にアクセスしたときにサイトのサーバーからパソコンやスマートフォンにcookieの数字などの情報が送られているのです。
これを端末に保存していくことで、次にサイトを訪れたときに前の続きから表示されたりするようになります。

要するに、cookieというのはサイトを訪れたときに発行される「受付番号」ようなもので、これを持っていると次からはスムーズにアクセスできる、そんな仕組みだと考えるとわかりやすいと思います。
ちなみに、「cookie」の語源は、おみくじが入ったお菓子、フォーチュンクッキーからきているなど、諸説あるようです。

cookieのおかげでネットサーフィンも買い物もサクサクというわけですね!

嶋井記者

ユーザー側からみると便利な仕組みですが、注意点もあります。
実は、サイトの運営者側からcookieを使って、サイトの閲覧履歴やユーザーの買い物の履歴を把握することができます。多くの企業がこの仕組みをウェブ広告の配信に使っています。

履歴が分かってしまうと聞くと、ちょっと怖い気もしますね。

嶋井記者

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就活サイトのリクナビが学生に説明しないまま企業に内定辞退率を販売していた問題がありましたが、このときにリクナビが利用していたのがcookieの情報でした。学生のcookie情報をもとにその学生がどんなサイトを閲覧していたかを把握していました。それをAIで分析して学生ごとに内定辞退率をはじき出していたわけです。
このとき、学生に十分な説明をせずに企業に依頼して、学生のcookieを集めていたことが明らかになっています。

そこまで個人のことが分かってしまうcookieの情報は慎重に扱ってほしいですが、誰でも自由に使えてしまうものなんですか?

嶋井記者

cookieは、現状では、個人情報保護法が対象とする「個人情報」にあたらないとされています。cookie自体は氏名や生年月日といった特定の個人が識別できる情報ではないというのがその理由で、日本では原則、自由にcookie情報を集めて利用することができています。

一方、EUのルールではcookie情報をビジネスなどに利用する場合、本人の同意を得るよう義務づけています。
日本でも何らかの規制をかけるべきだという意見もあります。
公正取引委員会は、デジタルプラットフォーマーと呼ばれる巨大IT企業が優越的な地位を乱用して消費者のデータを集めたりしないようガイドラインを設けようとしていますが、規制の対象とするデータの中にはcookieを含めるという見解を示しています。
こうした巨大IT企業などへの規制について経団連はデータをビジネスに生かそうという動きが委縮してしまうとして懸念を示しています。

cookieの規制をめぐって、政府や企業を巻き込んだ議論がこれからさらに活発になっていくと思います。