着ますか?ごみから作った洋服
ペットボトルなどのプラスチックごみが海洋汚染につながるとして、今、世界的な問題になっていますよね。ところが、こうしたごみをリサイクルして、新たな衣料品ブランドとして販売しようという動きが出ているそうです。それって確かにエコだけど、ごみから作る服ってどうなの?経済部でアパレル業界を担当している白石明大記者、教えて!
ごみから作った新しい服って、いったいどんなものなんですか?
白石記者
海に捨てられたペットボトルや漁網などのごみを回収してリサイクルした素材だけで作ったコートやパーカーです。
きょう(10月29日)、三陽商会が発表しました。私も実際に手に取ってみましたが、生地のさわり心地は普通の服と変わらず違和感はなかったです。
この服、そもそも2009年にスペインで創業された「ECOALF」という衣料品ブランドが開発したものです。このブランドは、地中海の漁師などの協力を得て、海に捨てられたペットボトルやタイヤなどを回収し、それをリサイクルした素材を開発しました。それを使って服やかばんを作っているということなんです。
こうした動きに着目した三陽商会が合弁会社を設立して日本でも展開することになりました。来年の春には、東京 渋谷に1号店をオープンするのを皮切りに国内で20店舗を出店する計画です。2025年度にはおよそ60億円の売り上げを目標にしています。
何だか特殊な企業という気もしますが…
白石記者
ほかにもありますよ。
ユニクロもペットボトルをリサイクルしてつくった特殊な繊維を使った速乾性に優れた高性能の服を来年春から販売します。
ペットボトルをリサイクルしてフリースなどに使う事例はありますが、不純物を取り除く技術を高めた結果、特殊な繊維が作れるようになったということなんです。
なぜ企業はこうした取り組みをしているのでしょうか。
白石記者
いま、海に捨てられたごみによる海洋汚染の問題が深刻になっていますよね。ことし6月に大阪で開かれたG20大阪サミットでも、各国の首脳がプラスチックの削減方法について議論をしたり、民間企業の間でも使い捨てのプラスチックストローの廃止やレジ袋の有料化などごみの削減やリサイクルの促進に向けて取り組みが活発になっています。
消費者の間でも環境意識が高まっていることから、ユニクロを展開するファーストリテイリングや三陽商会としては、リサイクル素材を使ったブランドを打ち出すことで、企業に求められているサステイナビリティー=持続可能性の実現につなげたい、というねらいがあるんです。
関心が高まっているのはわかりますが、ごみを再利用したファッションブランドが日本の消費者に果たして受け入れられるのでしょうか?
白石記者
私もそれが気になったのですが、三陽商会は新しいブランドが環境に優しいだけでなくデザイン面でも他のブランドに見劣りせず、手ごろな価格帯で提供できるとして日本の消費者に受け入れられると自信を持っています。
また、ユニクロもリサイクル素材で作るポロシャツを通常のポロシャツと同じ価格で販売するとしています。
こうした国内のアパレル大手がごみから生まれた素材を使って、相次いで新たな商品を販売することで、リサイクル素材の衣料品が一気に身近になるかもしれません。
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