NEW2019年10月08日

「揚げ物税」ってなに?

から揚げやトンカツ、フライドポテト…

そんな揚げ物が大好きな皆さん、きょうから税金をいただきます!という話ではないのですが、あるIT企業が「揚げ物税」という、ちょっと変わった取り組みを始めました。

背景にあるのは、やはり「健康」。どんな取り組みなのか、IT業界を取材している茂木里美記者、教えてください!

僕も揚げ物大好きなんですけど、それで税金を取られたら大変! 一体、どういうことですか?

茂木記者

本当の税金ではないので、ひとまず大丈夫。でも揚げ物好きには、ちょっと耳の痛い話です。

「揚げ物税」は、IT大手のヤフーが命名した取り組みです。
ヤフーの社員食堂の揚げ物の定食メニューを一律100円アップしちゃおうというものなんです。その代わりに焼き魚や煮魚などの定食メニューを150円値下げします。

揚げ物メニューの値段を上げることで、働く人に、揚げ物を食べる頻度を減らしてもらおうという取り組みですね。

へぇー、おもしろい取り組みですね。でも、なぜ会社がそんなことを?

茂木記者

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実はヤフー、社員の健康管理に課題を感じているそうなんです。

ヤフーが社員のランチ内容を調べたところ、揚げ物などに多い脂質を取り過ぎという結果が出たそう。

脂質の取り過ぎは、肥満やメタボリックシンドロームの原因にもなるとされ、食べ過ぎは要注意ですよね。

そしてヤフーのようなIT企業の場合、長時間座って仕事をするエンジニアの人も多いから、どうしても運動量が少なくなりがちなんだそうです。

会社が社員の健康状況についても調べたところ、いわゆる悪玉コレステロールの数値について「所見あり」が、全社員の45%もいたんだとか。

なるほど。半数近くというのは、ちょっと多いかもしれませんね。

茂木記者

働く人の健康状態をよくしたい!ということでヤフーが始めたのが「揚げ物税」。

初日のきょうのメニューは、こちら。

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「チキン南蛮自家製タルタルソース」が本来なら591円のところ、揚げ物税のため691円に。

魚料理の「さばのみそ煮と具沢山けんちん汁」は693円だったのが150円引きの543円になりました。

チキン南蛮のタルタルソース… おいしそうですが、魚料理との価格の差がぐんと広がって、ちょっと選ぶのをちゅうちょしてしまうかも…。

茂木記者

それこそがヤフーのねらいです。
「健康経営」っていうことば、聞いたことありますか?

従業員の健康を確保することで、生産性をあげようという考え方で、国も推進しています。

今、さまざまな企業がこの「健康経営」に取り組んでいて、従業員の喫煙率を下げるため、社内から喫煙コーナーを撤廃したり、独自で禁煙教室を開いたりしている企業もあります。また、職場にスポーツジムのインストラクターを呼んで運動教室を開催している企業もあるようです。

経済産業省は、こうした健康経営の導入を進めていて、東京証券取引所と共同で健康経営に積極的に取り組んでいる企業を「健康経営銘柄」に指定しています。投資家にとっても健康経営を進めているかどうかが、投資の一つの基準にもなっているんですね。

健康経営は、社員の健康管理はもちろんのこと、企業にとっては社外にアピールできるポイントにもなっていて、この考え方はさらに広がっていくと思います。