NEW2019年09月18日

サクサク消費税(7)価格設定と表示は?

消費税の気になる点を解説する「サクサク消費税Q&A」。今回は、「軽減税率」の導入で気になる「価格の設定と表示」についてです。

「店内飲食」と「持ち帰り」で、税率が10%と8%に分かれるということは、お店のメニュー表も、なんだか複雑なことになりそうですね。

価格の設定を、店内飲食と持ち帰りで「そろえる」ところと、「差をつける」ところがあって、対応が分かれているんです。

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たとえば、牛丼チェーン最大手、すき家は、主力商品の牛丼の並盛りについて、店内飲食の場合、本体価格の325円を6円値下げして319円にすることで、8%の税率が適用される持ち帰りの場合と、税込み価格を同じにすることを決めました。

ケンタッキーフライドチキンも、主力の「オリジナルチキン」について、店内飲食の場合の本体価格を値下げして、店内飲食と持ち帰りの価格を統一します。消費者の節約志向は根強いとみていて、主力商品の実質的な値下げで顧客をつなぎ止めるねらいがあります。

逆に、差をつけるところもあるんですか?

モスバーガーでは、本体価格は変えず、店内飲食と持ち帰りの税込み価格に差をつけることにしました。本体価格にぞれぞれの税率をかけているということなのですが、たとえば、定番のハンバーガーの場合、税込み価格は、店内飲食が377円、持ち帰りが370円。税率引き上げ後には、持ち帰りの需要が高まると見ていて、持ち帰りを想定した商品を強化するそうです。

商品の価格設定は売り上げを大きく左右するだけに、各社、知恵を絞っているんですね。

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価格を消費者に分かりやすく表示しようという動きも出ています。コンビニ大手のローソンは、軽減税率が適用されたことが分かるように、レシートの価格の横に「軽」と表示するほか、キャッシュレス決済を利用した場合、いくら還元されたか分かるようにします。値札にも、軽減税率の対象の商品には、「軽」という表示をつけ、ファミリーマートも同様の対応をとります。

またセブン‐イレブンは、軽減税率の対象の商品には、「*」(アステリスク)という表示をつけるということです。

また、流通大手のイオンは、軽減税率の導入に合わせて、正確な税額を伝えられるように、ことし3月から税込み価格の表示を小数点第2位まで表示するようにしています。

各社の工夫がさまざまな面で進められているんですね。

その一方で、政府は、増税後に事業者が行う「セール」について、「消費税はいただいていません」とか、「消費税還元セール」などと、消費税と関連づけた宣伝や広告を行うことは、税金を負担しなくていいかのような誤解を与えかねないとして禁止しています。

値引きセール自体は事業者の判断で自由に行えるとしていて、「10月1日以降2%値下げ」とか、「2%ポイント進呈」、「2%還元セール」や「新生活応援セール」といった表示も問題ないとしています。政府のこうした指針には、駆け込み需要の反動による消費の落ち込みを和らげたいというねらいがあります。

今回の引き上げによって生まれた税収は、何に使われるのか。次回は、消費税の使いみちについて解説します。