NEW2019年09月06日

サクサク消費税(1) 増税はいつから?

消費税率の引き上げが間近に迫っています。今回の引き上げで、何が変わるの? 私たちの暮らしへの影響は? 気になる点を、シリーズで解説します。題して、「サクサク消費税Q&A」。1回目は、消費税はいつからどう変わるのか、基本をおさらいします。

たびたび実施が延期されてきた消費増税。ついに、引き上げられるんですね?

10月1日に消費税率が今の8%から10%に引き上げられます。原則、あらゆる商品やサービスの購入が課税の対象です。消費税は、広く課税することで安定した税収が見込める反面、幅広い世代の人の財布の中身に直結することになります。

平成26年4月に5%から8%に引き上げられた消費税。当初の予定では、その翌年の平成27年10月に10%に引き上げることになっていました。しかし、景気への悪影響を理由にこれまで2度にわたって延期されてきたのです。

「本当に上がるの?」と半信半疑だった人も多かったと思うのですが。

政府は、世界的な不況となった「リーマンショック級」の出来事がない限り、増税を実施するとしてきましたが、また延期になるのではないかと疑心暗鬼になる雰囲気があったことは否めません。ただ、今回はさすがに、増税が迫るにつれ、小売店が新しいレジを注文するなど、準備が急ピッチで進められています。

10月1日からということですから、日付が変わると同時に税率が切り替わるのでしょうか。

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基本的には、10月1日の午前0時を回ると10%の税率が適用されることになります。24時間営業の大手コンビニなどでは日付が変わった段階で、会計時に適用される税率が切り替わります。ただ、例えば営業時間が夜中2時までの居酒屋では、営業を終えて売り上げを締めるまでは前日分と見なされ、日付をまたいで飲み食いしたとしても税率は8%で、直ちに切り替わるわけではありません。

インターネットで商品を購入する場合は、9月中に注文さえ済ませれば、税率は8%ということになりますか。

そうではないんです。先ほどの居酒屋の例のように、切り替わるタイミングは、事業者が売り上げを計上する基準によって異なります。ネット販売の場合、商品の「出荷日」を基準にしているところが多いようなので、この場合、注文が9月中であっても、出荷が10月に入れば10%の税率が適用されるということになります。また、駆け込み需要で注文が殺到し、出荷がずれ込んだ場合に追加の支払いが発生するかなど、事業者によって対応は分かれますので、注意が必要です。

電車やバスの定期券・回数券は、引き上げ前に購入すれば、8%だと聞いたのですが。

そのとおりです。法律に基づいた「経過措置」が適用されます。たとえば、電車やバスの定期券・回数券、航空券のほか、映画館や美術館、遊園地の前売り入場券など、不特定多数の人に関わるものについては、9月中に購入すれば、利用するのが10月以降でも、税率を8%のままとする措置が取られます。

エステや語学教室などの回数券も対象になるのですか。

「経過措置」の対象は、政令で定められたものに限られています。エステや語学指導といった「サービスの提供」にかかる消費税は、そのサービスが提供された時点の税率が適用されます。このため、10月以降も使える回数券を9月中に購入したとしても、10月以降の利用に対しては10%の税率が適用され、事業者はそれに応じた税金を納める必要が出てきます。

次回は、今回初めて導入される「軽減税率」という制度について、解説します。