NEW2019年06月14日

再生可能エネルギー 固定価格なぜやめる?

経済産業省は、太陽光や風力で発電した電力を、国があらかじめ決めた価格で大手電力会社が買い取る「固定価格買い取り制度=FIT」を終了させる方向で調整に入りました。再生可能エネルギーの普及を促すための制度でしたが、なぜ今、見直すのでしょうか?

固定価格買い取り制度=FITって、そもそもどんな制度なんですか?

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太陽光や風力など「再生可能エネルギー」で事業者が発電した電力を、大手の電力会社に国が定めた価格で最大20年間買い取ることを義務づける制度のこと。

もともと、東日本大震災のあと再生可能エネルギーの普及を促すため、7年前の2012年に導入された。

当時は、太陽光や風力、地熱などの再生可能エネルギーは、一般的には、火力発電などより発電コストが高いとされ、普及が進んでいなかったのね。

一定の価格で安定して買い取ってもらえる仕組みがあれば、再生可能エネルギーによる発電に参入する事業者も増えると見込んだわけ。

その制度をなぜ今、やめてしまうんですか?

消費者の負担を抑えるため、制度の見直しをするということ。買い取りにかかる費用は、電気料金に上乗せされているんだけど、その上乗せ分が負担になってきたということなの。

制度の導入で、再生可能エネルギーの普及は進んだ。電力に占める水力を除く再生可能エネルギーの割合は制度が始まる前の2011年度の2.7%から2017年度には8.1%まで増加している。

一方で、事業用の太陽光発電では、当初、買い取り価格が1キロワットアワー当たり40円と高い水準に設定された。

こうした上乗せ分について、家庭や企業が負担する金額は今年度、総額2.4兆円に達し、標準的な家庭の場合で年間の負担額が9200円余りに膨らむ見通し。

このままでは、消費者の負担がさらに膨らむ可能性があるということで、経済産業省は制度を抜本的に見直すことにしているわけ。

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年間2兆円を超える負担は驚きですね。制度はこれからどうなるんですか。

政府は、今後も再生可能エネルギーを主力の電源として普及させたい考え。特に、コストが下がってきている大規模な太陽光や風力を対象にして、価格競争を促す新たな仕組みを導入して、コストの削減につなげようとしている。

今は「最大で20年間買い取る」ことが義務づけられているので、既存の事業者は今までの制度が維持されるけど、これから新しく参入する事業者を対象にしていく。

そして、市場原理で、価格が一定の基準を下回った場合には国が補填する制度を検討しているの。

また、家庭向けの太陽光発電や中小規模の水力発電などについては、今後の支援措置のあり方を検討しているそうよ。