NEW2019年05月29日

15度の傾きが快適さを決める!?

長距離の鉄道や飛行機、バスの車内では、少しでも移動の疲れを減らしたい、そのために座席を倒して楽にすごしたいと思うのが人情です。ただ、後ろの人とトラブルになるケースもあり、どこまで倒してよいかためらうという人も多いのではないでしょうか。この「リクライニング問題」を解決する新しい座席を導入した航空会社があります。

出張や旅行で飛行機に乗る機会も多いです。新しい座席とは、いったいどんなものですか?

関西空港に拠点を置くLCC=格安航空会社のピーチ・アビエーションが、エアバス社製の最新機に初めて導入したの。

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一般的な座席と比べて、背もたれがあらかじめ15度倒れた状態で固定されている。最新の研究に基づいて、乗客の背中によりフィットするようになっているそうよ。これ以上倒すことはできないけれど、離着陸の際も座席を倒したままの姿勢ですごせるようになっているの。

なぜこのような座席を導入したのですか?

会社では、快適性を向上させるために、利用客にアンケート調査をしたそうよ。その結果、後ろに倒しづらい、突然前の人から倒されたなど、座席のリクライニングをめぐる不満が多かった。そこで、主なターゲットとしている20代と30代の女性を中心とした従業員を所属部門に関係なく集めて、プロジェクトチームを作ったの。そして、さまざまな航空機の座席を取り寄せて座り心地や耐久性などを調べた結果、コストなども考慮して、この15度倒れた座席を採用したそうよ。

そもそもシートって倒した状態で固定してもいいのですか?

国土交通省によると、特に基準はないんだって。安全性を確保するため、座席にダミーの人形を置いた加重試験をクリアできれば、極端な話、90度に倒れててもいいそうよ。また、事故が起きた場合に脱出できるよう、前の座席との一定の空間も必要なんだけど、素材を選んで、背もたれを薄くすることによって、従来の座席よりも15%ほどゆとりのスペースを確保したそうなの。利用客からは、「座った瞬間から少しリクライニングされているので快適」とか、「テーブルを出してパソコン作業をしていても、前の席の人がリクライニングする心配がないので作業しやすい」など好意的な意見が多いそうよ。

大手航空会社などは導入しないのですか?

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そもそも、低料金を売りにしたLCC=格安航空会社は、可能なかぎり多くの座席が設置されている。このため、大手などと比べると、スペースが手狭なケースが多いんだって。

今回の座席は、限られた環境だからこそ出てきた知恵と言えるかもしれないわね。

私たちが移動手段を選ぶ場合、料金や所要時間が大きな要素だけど、快適性も決して軽視できない。今後、このような座席の導入が広がっていくのか注目していきたいわね。