NEW2019年05月23日

急げ!効率化 メガバンク

大手金融グループが、ここへ来て経営効率化の取り組みを加速させています。背景にある2つの要因とは。

店舗の統廃合や採用の抑制など、銀行の効率化のニュースが続いている印象です。

表にしたのは、3大金融グループの効率化に向けた取り組み。三菱UFJやみずほが店舗削減の計画を増やすなど、いずれも、従来の計画や見通しを上積みしたり、加速させたりしている。

この時期、各グループは、ことし3月期決算の発表を終えて投資家向けに業績や今後の経営方針の説明会を開いていて、そうした場で、改革を加速させる姿勢を打ち出したの。

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改革を加速させる理由の1つは、厳しい収益環境ということですよね。

そう。ことし3月期の決算をみると、本業のもうけにあたる「実質業務純益」は3グループそろって前年比マイナス。長引く低金利で企業向けの貸し出しなどで得られる利ざやが縮小しているほか、市場部門の運用実績も十分に上がらなかった。

この先を見通してみても、日銀の大規模な金融緩和が当面続きそうだから、歴史的な低金利もまだまだ続くことになる。それに、長らく回復してきたと言われる景気にも不透明さが増していて、米中貿易摩擦や中国経済の動向によっては、融資先の企業の業績に影響が及びかねない。そうなると、融資が返済されなくなるリスクに備えて積み立てておくお金を増やさなければならない。

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つまり、厳しい環境がまだ続くと見られるからこそ、手を打っておかなければならないんですね。もう1つの理由は何でしょう?

高止まりする「経費率」。利益を100上げるために、どれだけの経費がかかっているかということ。

今回の決算で見ても、最も高いみずほの78.8%をはじめ、3大グループの経費率は、海外の主要な銀行に比べて高いと指摘されている。

とりわけ、経費がかかっているのが個人向けの金融サービス分野。ネットバンキングの普及などで店舗を訪れている人が減る中で、店舗網やATMなどが重荷になっているというわけ。だからこそ、各グループは店舗の統廃合などに動いている。

こうした構造は大手銀行だけでなく、地方銀行にもほぼ共通。銀行は今、業界を挙げて、AIやロボット技術などを活用して利用者の利便性を損なわずにどう効率化を進めるか、業務の効率化で浮いた人材をどう成長分野に振り向けていくか、知恵を絞っているの。