NEW2019年04月05日

“私を再びCEOに” 異例の株主提案の行方

大手住宅設備メーカー「LIXILグループ」の前のCEOが、みずからのトップ復帰を目指し、ことし6月の株主総会で株主提案を行うと表明しました。大手企業のトップ交代をめぐって取締役が株主提案を行うのは異例で、経営体制をめぐる混乱が深まっています。

LIXILでいったい何が起きているんですか。

これまでの経緯をおさらいすると、LIXILは、別の会社から招かれたいわゆる「プロ経営者」の瀬戸欣哉取締役が、去年10月末にCEOを退任し、創業家出身の潮田洋一郎氏が後任のCEOに就く人事を発表した。

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この時、創業家出身の潮田氏が、瀬戸氏を追い出したのではないかと話題になったんだけど、瀬戸氏は10月末の会見で、「これからのLIXILをどうしていくかの方向性が違ってきた。潮田氏が違う方向を考えているのであれば、対峙するよりもそれをやってもらうことがいちばんだなと判断した」と話し、一応、納得して退任する形をとっていた。

しかし、5か月余りたった4月5日、瀬戸氏は会見を開き、みずからを含む8人の取締役候補者を独自にまとめ、ことし6月に予定される定時の株主総会で、株主提案を行うと表明したの。

取締役候補者には潮田氏は入っておらず、提案が通れば、瀬戸氏が再びCEOになるという。自分を中心とした新しい体制で会社のガバナンスを強化したいとしているの。

瀬戸氏は、去年10月にCEOを退任したのに、なぜ今になって、このような提案をしたのでしょうか。会見では何を語った?

瀬戸氏は退任の経緯について「去年10月、イタリアで休暇中に潮田氏から電話があり、辞めてほしいと言われた。退任は会社で決めたことで変えられないともメールがあった。晴天のへきれきだった」と話した。当時は会社が決めたことならしかたないと、受け入れたんだって。

しかし、この決定について、瀬戸氏はプロセスがおかしかったと主張しているの。瀬戸氏は「会社が私の退任を決めるときに、潮田氏が『私が辞意を示したから』と、ほかの取締役に説明されたことをだいぶ経ってから知った。おかしいと思った。さらになぜ潮田さんが選ばれたかもわからない」と話していたわ。

瀬戸氏は「『辞めてやる!』といった愚痴はあったかもしれないが、直接『辞めたい』と言ったことはない」と、主張が食い違っているの。

瀬戸氏はCEOを退任した後、社員や株主から「なぜ辞めたのか」と言われ、改めて考え直した結果、「自分が戻ることで会社を正しい道に導きたい」として、今回の決断に至ったんだって。

瀬戸氏の異例の提案。会社側はどう思っているんですか。今後、どうなるのでしょうか。

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LIXILグループでは「瀬戸氏からの提案の内容について把握しておらず、現時点ではコメントは控える。今後、会社に対して提案があった場合は、誠意を持って対応したい」とコメントしている。

この件とは別に、この人事を巡って、イギリスの投資運用会社などLIXILの複数の株主は、人事を決める手続きが不適切だったと主張している。そして、潮田氏らの解任を求めて臨時の株主総会を請求し、5月に開催する方向で調整が行われているの。

今回、瀬戸氏が表明した株主提案は、6月の定時株主総会に向けたものなので、まずは5月の臨時株主総会で、潮田氏らの解任がどうなるかが焦点となりそう。

経営トップの交代をめぐる一連の問題は、まだまだ先が見通せないわね。