NEW2019年03月04日

日本の国民負担 高い?低い?

「国民負担率」ということばをご存じですか。日本の場合、4月からの新年度(2019年度)には42.8%になる見通しだと財務省が発表しました。40%を超えるのは6年連続というのですが…。

そもそも「国民負担率」とは何を示しているんですか?

「国民負担率」は、個人や企業の所得に占める税金や社会保険料の負担の割合を示している。税負担には、消費税や所得税、住民税、法人税などが、社会保険料には、年金、健康保険、雇用保険、介護保険などが含まれるの。つまり、この負担率が高いほど、個人が使えるお金が減ることになる。

財務省の推計によると、新年度の日本の国民負担率は42.8%になる見通し。これは前の年度と同じ数字なんだけど、過去最高だった17年度の42.9%に次ぐ水準なんだって。

40%超は高い数字と言えるんですか?

日本では、40年前の昭和54年度が30%程度、20年前の平成11年が35%程度だから、かつてに比べるとかなり上がっている。ただ、主要先進国との比較では、フランスが67.2%、スウェーデンが58.8%などと日本より高くなっている。逆にアメリカは33.1%と日本より低い。

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このデータを見るかぎり、実は、日本は高いほうとは言えない。日本は、65歳以上の高齢者の割合を示す「高齢化率」が28%程度と他の国よりも高く、年金や医療などの社会保障にかかる費用が多いことを考えると、負担率はそれほど高くなっていないという見方もできる。

いや、私は負担は重いと思いますよ。給料から税金や社会保険料を引かれると、自由に使えるお金は少ないです。でもなぜ、ヨーロッパに比べると、低いのでしょうか?

負担率だけを見て、低いからいいとか、高いから悪いとか、そういう問題ではないの。

フランスやスウェーデンのように負担率が高い国は、それだけ社会保障のサービスも手厚く、「高福祉・高負担」の国になっている。
逆に負担率が低い国は、その分、政府が社会保障に使うお金が少なく、それ相応のサービスとなる。だから、負担率が適正な水準かどうかは、社会保障のサービスの中身と比較して議論しないといけないの。

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財務省によると、日本の場合、GDPに占める政府の社会保障の支出は、OECD=経済協力開発機構の加盟国の中で「中程度」、つまり真ん中くらいなんだけど、国民負担率は「低水準」になっている。その差は、借金として先送りしていることになるんだって。

消費税率は10月から上がりますし、日本の負担率はこれからも高くなっていくのでしょうか?

新年度は、10月からの消費税率引き上げで税金の負担は増えるものの、景気の緩やかな回復で個人や企業の所得も伸びるため、負担の割合としては前年度と同じになる見通し。

財務省は、次の2020年度については、消費増税が年間を通じて影響するので国民負担率が上昇するとみているけど、その後は制度変更がないかぎり、負担率が大きく変わることはないとしている。

将来的に、負担率がどうなるかは、私たちがどういう内容の社会保障のサービスを求め、どの程度までの負担を受け入れるかによって変わってくるものだと言える。