トヨタとパナソニックが手を組むワケ

トヨタ自動車とパナソニックが、EV(電気自動車)向けの電池を共同で生産する新会社を来年末までに(2020年)設立することになりました。

設立するのはどんな会社なんですか?

新会社には、トヨタが51%、パナソニックが49%を出資。EV向けの電池を生産するのが目的なの。パナソニックが持つ電池の生産工場のうち、日本や中国に持つ電池の生産設備の大半を移して量産体制を整えるんだって。

もともとトヨタとパナソニックは、1996年からハイブリッド車に使われる電池の生産などで提携していて、今回、その関係をさらに強化することになったというわけ。

電池の開発と生産をより強化するということなんですね。その狙いは。

EVの普及が世界的に加速してるのは知っているよね。電池は、EVの走行距離などの性能を左右するものなので、自動車メーカーにとってますます重要になる。

トヨタは、2030年をめどに年間の販売台数のおよそ半分にあたる550万台をEVなどの電動車にする方針。だけど最近は、電池の分野でも中国の存在感が高まっている。

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中国は国ぐるみでEVを普及させていて、「CATL」や「BYD」という電池のメーカーが急成長しているんだって。それに韓国メーカーも続いている。

だから両社は、これに対抗するためにも、電池の量産体制を整えて競争力を高めたいと考えたの。

記者会見では「トヨタがもつ電動車のノウハウとパナソニックがもつ電池の量産技術を融合させ、業界ナンバーワンの開発力と製造力を実現したい」と意気込んでいた。

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電池は、トヨタのために作られるんですか。

いや、トヨタだけではない。両社は電池を国内外の他のメーカーにも販売することで生産規模を拡大しようとしている。

EVに一般的に搭載されているリチウムイオン電池の性能を上げることはもちろん、次世代バッテリーと言われる「全固体電池」も2020年代前半の実用化に向けて共同開発を加速させる方針なの。

全固体電池は、電気をためたり放出するための電解質に今のリチウムイオン電池のような液体ではなく、特殊な“固体”を使う。

そうすると充電できる量が増えて、EVの走行距離を延ばせるという。充電時間も今より大幅に短くなるんだって。

日本の製造業の代表とも言える2社が手を組むわけだから、中国メーカーなどに負けるわけにはいかないわね。