NEW2018年10月29日

変わる? “企業通信簿”の回数

上場企業の中間決算の発表が本格化しています。決算は経営の“通信簿”とも言われ、すべての上場企業に四半期・3か月ごとの公表が義務づけられていますが、アメリカではトランプ大統領の発言をきっかけに、その回数が議論になっています。

決算を3か月に1度公表するのはいつごろ始まったんですか?

日本で上場企業に義務づけられたのは、2003年。意外に最近ね。それまでは半年に1度でよかったの。

アメリカではそれ以前から3か月に1度の発表が定着していて、経済のグローバル化が進む中、日本でも投資家への情報開示をもっと進めようという流れになった。

企業の業績は投資家が株式を売買する際の重要な手がかりだから、投資家目線でみれば、業績に変化はないか、この先の経営方針はどうか、なるべく頻繁に知りたいというわけ。

でもそのアメリカでトランプ大統領が議論を巻き起こしたと。

そう。ことし8月に突然、決算発表を半年に1度に減らす検討をするよう、SEC=証券取引委員会に指示したとツイートした。知人の経営者からの提言を受けた発言だったようね。

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トランプ大統領のツィート

「年に4回も決算発表があると、目先の業績をあげることに懸命になりすぎる、経営が近視眼的になる」そういった批判があるのも事実。

大統領の発言を受けて、SECは「開示の頻度については継続的に検討を行っている」という声明を出して、見直しの可能性に言及したの。

日本にも影響することになるのかな?

日本でも年4回というのは企業の負担だという議論はすでにあって、実は経団連も、廃止の要望を出している。ただ、東証のトップは最近の記者会見で「企業業績の定点観測が必要だという意見は多い」と述べていて、見直しには否定的。

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決算資料を投かんする企業の担当者

今まさに決算発表を行っている企業の財務担当者に話を聞くと、「年2回になれば業務はだいぶ減らせる。働き方改革が議論されている中でとても助かる」という意見もあった一方、「経営環境の変化のスピードは年々速まっていて、年2回では十分ではない」とか「決算は投資家との大切な対話の場でもあるので、減らすことは考えられない」と賛否両論といった感じね。

投資家への適正な情報開示と短期的な利益にとらわれない先を見据えた企業経営の両立。決算発表の頻度にかかわらず、経営者の腕の見せどころではあるわね。