NEW2018年10月10日

ルール“廃止”で、どうなる就活

財界トップの経団連会長が、いわゆる就活ルールについて見直しを表明してから1か月。経団連は、採用面接の解禁時期などを定めた指針について、2021年春の入社以降は「つくらない」ことを正式に決めました。なぜ、いまルールを見直すのか?そして、就活はどう変わるのでしょうか?

就活ルールについては、経団連の中西会長が9月に廃止を含めて見直すとして問題提起したばかり。わずか1か月で廃止を決めたんですね。

確かにスピーディに決めた印象ね。経団連が示している現行の指針は、「会社説明会は大学3年の3月、採用面接は6月」などと解禁時期を定めていて、2020年春入社の分までが対象。その次の2021年春入社以降をどうするかという検討だったわけだけど、実際の活動時期は前年の2020年。つまり、再来年ということだから、企業や大学・学生のことも考えると、早めに結論を出す必要があったというわけね。

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就活ルールって、昭和20年代から半世紀以上、何らかの形で続いて来たんですよね。なぜ、いま変える必要があるのかな?

中西会長は、日本の人材育成をめぐる危機感を強調してる。経済のグローバル化が進む中で、日本企業の競争環境はより厳しく、かつ変化へのスピーディな対応を求められているわけだけれど、そうした世界で通じる人材を企業も大学も育成できているのかと問題提起している。

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また、新卒一括採用という慣行自体についても、いまの時代には有効でなくなってきているという認識も示している。就活ルールって、近年いつ面接を解禁するかなどスケジュールの議論が繰り返されてきたんだけれど、中西会長はもっと本質的に採用や育成のあり方を考えるべきだとして、経団連としては廃止に踏み切ったということね。

でも、経団連がルールをつくらなくなったら、いつから就活を始めるべきなのか、学生も企業も戸惑う面もあるんじゃないかな?

経団連が示すいまの形のルールは廃止されるけど、完全にルールがなくなってしまうわけではない。中小企業の採用や学業への影響を考慮すべきだという意見もあり、政府が新たなルールづくりを主導することになった。経済産業省や文部科学省などで構成する「関係省庁連絡会議」を設置。経団連や大学側も交えて、2021年春の入社以降について話し合うことになってる。いまのところ、現行のルールの大枠をそのまま維持する方向で議論が進む見通し。

2021年入社だと、今の大学2年生ですね。学生にしてみれば、ちょっと安心できるかも。

ただ、2022年入社=大学1年生以降については、どうなるかはまだ見えていない。中長期的には、政府の「未来投資会議」で、新卒一括採用の見直しや中途採用の拡大などについて検討にされることになっているから、そこでの議論が注目される。

就活のあり方も、これから大きく変わってきそうですね。

そうね。大手企業では、すでに一括採用だけでなく、いわゆる通年採用や、職種・ポストに応じた採用などいろいろな手法を組み合わせて採用しているところも多い。今後は、こうした傾向がさらに広がっていきそう。経団連の中西会長は、グローバルな競争の時代に求められるのは、語学・専門性・多様な文化を理解できる教養を備えた人材だと話している。学生側としても、将来の進路を見据えて、しっかりと実力を養うことが大事になりそうね。