NEW2018年09月27日

クルマの税金 安くなるの?

「自動車に関する税金はあまりに高すぎる」
自動車メーカーで作る業界団体、日本自動車工業会(自工会)は、来年度の税制改正で、自動車に関する税金の大幅な減税を求める方針を明らかにしました。豊田章男会長は「今回こそ抜本的な改正に取り組みたい」と訴えています。なぜなのでしょうか?

自動車にはいろいろと税金を払っているけど、仕組みが複雑でよく分かりません。実際にいくら払っているのですか?

自工会では、日本のユーザーが1台の車を保有する平均期間の13年間に自動車関連の税金をどれくらい払っているいるのか試算している。

それによると、例えば、排気量1800ccの自動車の場合、購入時に消費税と自動車取得税がかかっている。このほかに、車を保有することにかかる税金(自動車税と自動車重量税)が、13年間で合わせて67万3000円を支払っていることになるんだって。

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自工会の豊田章男会長は、「ドイツやイギリスに比べると、日本のユーザーは2倍以上支払っていることになり、世界一高いレベルの負担をしている」と訴えている。

自工会はどんな減税を求めているのですか?

例えば、車を持つ人が毎年、課税されている「自動車税」。自家用の乗用車の場合、排気量に応じて税額が変わる仕組みで、例えば1800ccの排気量だと3万9500円を支払っている。

一方、軽自動車を持つ人の「軽自動車税」は1万800円で、差があるでしょ。

国際的な水準に近づけるために、乗用車も軽自動車並みの水準に引き下げてほしいと求めているの。

それと、車検の際に課税される「自動車重量税」は、一時的に上乗せしている税率を廃止するよう求めている。

こうした要望は、これまでも行っていたと思いますが、「今回こそは」と訴えているのはなぜですか?

来年10月に消費税率10%への引き上げが予定されているでしょ。これまでも消費増税の際には自動車の販売台数が落ち込んでいるし、今回も前年より30万台減るという試算もあるの。

だからこそ、自動車に関わる税金の負担を何としても軽減したいというわけ。

消費増税も踏まえて、来年度の税制改正では、自動車を持つ人の負担軽減策について検討するという方針がすでに決まっていたこともある。

なるほど。年末にまとまる来年度の税制改正に向けて、激しい議論になりそうですね。

そうね。実際に減税になるかどうかはこれからの議論次第で、そう簡単ではなさそう。

というのも自動車にかかる税金による収入は、2兆6000億円余りで(自動車税・軽自動車税・自動車重量税・自動車取得税の合計/平成30年度見込み)国だけじゃなくて都道府県や市町村にとっても重要な税収になっているの。

使いみちは決まっていないけど、自動車が走る道路の維持や補修も税金で行われている。

減税によって税収が減れば、国や地方の財政にとって大きな問題になるから、財務省と総務省は代わりの財源を見つけないままでの減税には否定的。

「国内の自動車市場を守りたいと言うけれど、減税しただけで車が売れるようになるとは思わない」という人もいて、主張は自動車業界と真っ向から対立しているんだって。

車を持っている人、これから買う人には必ず関わる問題だから、どういう議論が行われてどういう結論が出るか、見ておかないといけないわね。