NEW2018年08月31日

携帯電話料金は高いの?安くなる?

携帯電話の料金をめぐって、菅官房長官が「競争が働いておらず、今より4割程度下げる余地がある」と発言。これに続き、野田総務大臣も事業者どうしの競争を促して値下げにつなげる意欲を示しました。携帯電話の料金は下がるのでしょうか。

わたしも毎月のスマホの利用料はばかにならないなと思うんですが、日本の携帯電話の料金はそもそも高いんですか?

そうね、総務省が毎年公表している「内外価格差調査」によると、大手キャリアで、データ容量が5GBか、それに近いプランで比較した場合、東京が1か月で3760円なのに対して、ニューヨークは6187円、ソウルが4640円。一方でパリが2554円、ロンドンが2505円。単純な比較はできないけど、ヨーロッパの代表的な都市と水準と比べると東京は4割程度高いと言えるかな。

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家計調査によると、1世帯あたりの携帯電話料金は、年間10万250円(2017年)で、10年前より35%(金額で2万6000円余り)増えているの。

そういえば3年前にも、安倍総理大臣が携帯電話料金の引き下げを検討するよう指示していたのを思い出しました。そこからあまり変わらなかったのですか。

各社が割安な料金プランを設けるなどして対応はしたし、政府も「格安スマホ」市場を育てようとしてきた。だけど、国内の携帯電話市場はNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3社がおよそ9割のシェアを占め、格安スマホの利用者はまだまだ少ないのが現状ね。政府としては、各社の競争が十分働いておらず、想定よりも料金が下がっていないと考えているの。

再び強まっている政府からの値下げ圧力を、携帯電話会社はどう受け止めているんですか。

大手3社は、政府主導の値下げ論議に戸惑っている感じ。各社の主張としては、▽利用量の少ない人向けのプランを設けたり、グループ会社や第2ブランドを通じて割安な料金の選択肢を示したりしていること。▽決済やコンテンツ配信など多様なサービスの料金も、通信料と一緒に請求しているため、その分、高くなっていること。▽さらには、高い通信の品質を維持するには膨大な設備投資がかかることを挙げている。

これからは、5Gと呼ばれる次世代通信も整備しなくてはいけないので、通信品質も含めたトータルで判断してほしいと訴えているの。

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総務省が、携帯電話など情報通信分野の政策や規制を見直す議論を始めると聞きましたが、これから料金は安くなっていくんですかね。

それはまだ分からないな。そもそも、国が料金の値下げを強制することはできないから、どれだけ各社の競争を促進できるかということになる。例えば、原則、契約を2年間続けるかわりに料金を割り引く、いわゆる“2年縛り”については、各社が一部を見直し、解約金がかからない契約の更新期間を3か月間に広げる方針をすでに示しているけど、これだけでは十分ではないという声もあるの。だから、利用者が携帯電話会社を乗り換えやすくなる環境をいかに作っていけるかが注目される。

それとは別に、来年秋には大きな動きがある。楽天が“4番目の大手キャリア”として新規参入する予定なのは知っているよね。今より競争が活発になると見込まれるけど、大手3社よりどれだけ安い料金やサービスを打ち出すのかも、大きなポイントになるわね。