NEW2018年08月17日

ATMは減っちゃうの?

大手銀行の間で、ATM=現金自動預け払い機の設置台数を減らす検討を始めたり、自前のATMを廃止してほかの銀行に任せたりする動きが出ています。

今なぜこうした動きが出ているんですか?

スマホやパソコンで送金などを行う「ネットバンキング」の利用が増え、ATMの利用が減っていることが大きな背景。歴史的な低金利で銀行は収益力が落ちているから、さまざまな業務の効率化を進めていて、その一環でもあるわ。「三菱UFJ銀行」は、今後5年余りかけて全国の店舗などに設置しているATMおよそ8100台のうち2割程度を削減する方向で検討を進めている。また「あおぞら銀行」は、8月下旬から順次、自前のATMを廃止し、代わりに、提携する「ゆうちょ銀行」のATMを店舗内に置くなどして、手数料なく使えるようにする。「新生銀行」のように、すでに自前のATMを廃止して、「セブン銀行」のATMを店舗内に置いているところもあるわ。

そもそもATMって国内にどのくらいあるんでしょうか。

全国銀行協会の平成29年版の統計によると、大手銀行や地方銀行などを合わせて、10万9000台余り。10年前の平成19年版の同じ統計では、11万2300台余りあった。

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多少、減ってきているんですね。

ただ、この統計には「ゆうちょ銀行」やコンビニATMは入っていないの。コンビニATMを手がける「セブン銀行」だけを見ても、この10年で台数を大幅に増やして、今は約2万4500台あるから、国内全体のATMの台数は、むしろ増えてきたと言えるわ。

コンビニATMの普及も、銀行が自前のATM網を見直す背景になっているということでしょうか。

そのとおりね。そして、ATM網を見直す上でもう1つのカギが、今後の「キャッシュレス化」をどう見るか。海外に比べて進んでいないと指摘されてきたけど、政府は外国人観光客が一層増えると見込まれる2020年の東京オリンピック・パラリンピックなどを見据え、キャッシュレス化を推進しているところ。今後、スマホ決済などの利用が増えて買い物などに使われる現金の比率が減って行けば、ATMの利用はますます減る可能性があるから、この点をどう見通すかが銀行の戦略上、大事になっているというわけ。

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電子マネーやクレジットカードは便利だけど、身の回りをみても、まだまだ“現金志向”は根強いですよね。そんな中で、身近な場所のATMが先行してなくなると不便だけど…。

銀行側は、1か所に複数のATMが設置されている場所で利用状況に応じて台数を減らすなど、利便性を損なわないように効率化したい考え。国内のATMは多機能化が進んできたけど、利用者にとっては、現金の引き出しなど、機能を絞り込んだ軽量なATMやキャッシュディスペンサーでいいから、身近な場所に残してほしいというニーズも今後はあるかもしれないわね。効率化を進める必要性もわかるけど、都市部や地域による事情の違いなど、利用者目線も重視しながら取り組んでほしいところね。