NEW2018年07月02日

「RCEP」を知ってますか?

RCEPという言葉、聞いたことありませんか?「アールセップ」と読みます。「経済連携協定」の一種です。たくさんの国どうしが貿易や投資をしやすくして、経済を活性化させようというものですが、最近になって、にわかに注目を集めています。どうしてなのでしょうか。

RCEPって、確かに最近耳にしますけど、一体何なんですか?

正式には「東アジア地域包括的経済連携」と言って、アジア太平洋の国々が参加する経済連携協定の1つよ。日本や中国、インド、それにASEAN=東南アジア諸国連合の10か国などの16か国が参加して、5年前の2013年から話し合いが始まったの。
農産物や工業製品の関税を引き下げるだけじゃなくて、輸出入の手続きをわかりやすくするとか、いろんなルールについても話し合って、お互いの貿易を活発にしようとしているわ。

なるほど。ちょっと前まではTPPというのをよく聞いたような…。どう違うのですか?

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そう。TPPも経済連携協定の1つだから、似ているわ。でも、RCEPが大事なのは、なんと言っても中国やインドといった人口や経済規模が大きな国が参加していること。
参加国の人口は、世界の半分近くにあたる35億3000万人、GDP=国内総生産の合計は25兆1000億ドルと世界の31%を占めるのよ。日本の会社が大きな国に輸出しやすくなれば、当然、ビジネスが大きくなる。
しかも、最近は人件費の安いアジアの国で車とか家電などを作る日本の会社も多くなっているから、RCEPが実現したら、地域でどんどん貿易が活発になって、日本の会社ももうかる可能性がふくらむというわけ。
TPPも、もともとアメリカなど12か国が参加していて大規模だったけど、トランプさんが大統領になったあと抜けたので、規模はかなり小さくなってしまった。

最近、特に注目されているのは、どうしてですか?

アメリカがTPPから抜けたことと関係しているわ。トランプ大統領は、多くの国どうしで貿易をしやすくした結果、輸入品が増えて、自分の国の産業を弱くしていると主張しているの。
そのためにTPPから抜けただけじゃなくて、鉄鋼製品などの輸入品に高い関税をかけた。さらに今度は自動車まで関税をかけるかどうか調査を始めているのよ。
それで関税をかけられた国も、お返しにアメリカからの輸入品に高い関税をかけ始めているから、世界の貿易が減って景気が悪くなっちゃうかもしれない。
それを「貿易戦争」と呼んで、みんな心配しているの。
だからこそ、自由に貿易ができるようにして、経済を活性化しましょうというRCEPの交渉が進むかどうか、みんな期待しているわ。

へぇ~、RCEPってそんなにすごいんだ。なら、早く合意しそうですね。

そう簡単でもないの。さっきも言ったように、RCEPに参加しているのはオーストラリアのような先進国もあれば、インドやベトナム、ミャンマーのような、本格的な経済成長の途中という国までたくさんある。
多くの品目の関税を下げると、まだ弱い農業や工業が育たないって、慎重な国もある。
また、ルールの話し合いでも、例えば「知的財産」という分野では、日本は映画とか音楽の海賊版を取締りを厳しくしてほしいと求めていても、中国は国内の体制が整っていないから難しいと反発していて、まだまだ立場の違いは残っているわ。
7月1日には東京で大臣どうしの話し合いが開かれて、世耕経済産業大臣は「ことしの年末までに大筋合意を目指す」と言って、雰囲気は盛り上がってきているけれど、本当に実現できるのか、これからが正念場だわ。

なんとか日本が頑張って、まとめられるとよいですね。