NEW2018年06月25日

次世代バッテリー ライバルどうしで開発 なぜ?

今月15日、国内の自動車メーカーや国立の研究開発法人はEV=電気自動車の次世代バッテリーの開発で連携すると発表しました。いわばオールジャパンでEV普及の鍵をにぎるバッテリーの開発に乗り出す背景にはある国の存在がありました。

開発を進める次世代バッテリーとはどんなものなんですか。

「全固体電池」と呼ばれるものなの。
EVに一般的に搭載されているリチウムイオン電池はフル充電に30分ぐらいかかるし1回の充電で走れる距離がガソリン車と比べると短くて、不便だという声が根強いわ。

ニュース画像

一方で全固体電池は、電解質に今のリチウムイオン電池のような液体ではなく、特殊な“固体”を使うことで、より多くの電気をためたり、放出したりできるというの。

充電できる量が増えることで、EVの走行距離を延ばすというわけ。

今回の発表では、2030年ころまでに、充電できる量を3倍にして走行距離を大きく延ばすこと。

フル充電にかかる時間を10分にまで縮めることが目標だと言っているわ。電池の世界を一変させるかもしれないわね。

そこまで優れた電池ができれば、EVの普及が進みそうですね。
でも、開発に参加するメーカーはトヨタ、ホンダ、日産などライバルどうしが…。これって?

そう。競争を続けているライバル企業がこぞって参加しているの。

EV普及の鍵となる次世代バッテリーの開発で力をあわせようというのはやっぱり、中国の存在があるわ。

中国はいま国ぐるみでEVを普及させているでしょ。そのEVの部品でメーンになる電池でも「BYD」や「CATL」という中国メーカーが急成長して日本の脅威になっているの。

ニュース画像

成長を後押ししているのは中国政府。大気汚染の解消も目的だけど、構造が比較的シンプルで参入がしやすいEVで日本や欧米のメーカーが先行する従来の自動車の勢力図を塗り替えようとしているわけ。

でも、これだけのメンバーが結集すれば心強いですね。

油断はできないわ。全固体電池が本格的に搭載されるのは2025年ぐらい。まだまだ先よ。それまでに、国の後押しをうける中国の自動車メーカーや電池メーカーが勢力をさらに広げている可能性もある。

それに、日本の中には、エンジン車の衰退につながるEVの普及に消極的な声もあって、足並みを揃えにくい状況があることも気になるわ。

世界のライバルたちを意識しながら、よりスピード感をもって開発していけるか。日本の存在感をみせてほしいわね。