NEW2018年06月19日

うなぎの代わりに◯◯?

ことしの「土用のうしの日」は7月20日。それまでおよそ1か月となり、スーパーなどの店先にも、うなぎの蒲焼きが目につくようになります。しかし、稚魚のシラスウナギが深刻な不漁つづきで、うなぎはちょっと手が届きにくいものになってしまっています。資源保護のため漁獲量についての規制強化も視野に入ってくる中、おなじみのうなぎに代わる商品として、あんなものやこんなものが打ち出されています。

うなぎが高いって聞きますけど、どれくらいの価格になっているんですか?

大手スーパーの場合、国産のかば焼きが1パック2000円(税込み)くらい。土用のうしの日に食べたいけど、ちょっと手が届きにくい価格になっている。業者間の取り引き価格だと、1キロ当たりで5300円と去年の同じ時期より4割以上も高く、過去最高になってるんだって。

稚魚が不漁らしいけど、そんなに厳しい状況なのかな?

不漁は、とっても深刻。国内で流通しているうなぎは、ほとんどが養殖ものなんだけど、親魚から卵、卵から稚魚、そして再び親魚にまで育てる完全養殖の技術は、まだ実用化されていない。今は、稚魚のシラスウナギを取ってきて育てるしかないんだけど、その肝心の稚魚の漁獲量が長期的に減少傾向にある。

ちなみに、今シーズンは国内の養殖池に入れられたシラスウナギの量は14トンで前年同期比で28%のマイナス。比較できる平成18年以降では、2番目に低い水準。養殖池に入れてから、1年ないし2年で出荷することが多いので、来年以降もうなぎの出荷量が少なく、高値が続くのではないかと見られている。

となると、やっぱりうなぎは高嶺の花かぁ。どうにかならないのかな。

だから、スーパーなどでも対策に乗り出している。流通大手の「イオン」では、インドネシア産のビカーラ種と呼ばれるうなぎの取り扱いを増やす方針。肉厚だけど、価格がニホンウナギの半額以下なんだって。

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ただ、このビカーラ種も資源の減少が懸念されているから、イオンでは、国際機関とも連携して、密漁でとったものを排除するため、稚魚の段階から流通経路がはっきりしたものだけを扱うことを目指している。

そのほか、土用のうしの日に向けては、うなぎの代わりとして、「さば」や「なまず」のかば焼きも取りそろえることにしているそう。

土用のうしでも、もはや、うなぎにこだわる必要もないってことかな?

そういう動きも広がってきてる。食品宅配大手の「らでぃっしゅぼーや」では、土用のうしの日に、うなぎ以外の食材を楽しむことを提案している。

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土用のうしの日にうなぎを食べる習わしは江戸時代に定着したけど、もともとは夏バテを防ぐため栄養のあるものを食べようというのが主眼。だから、「うし」にひっかけた「牛肉のステーキ」、タンパク質や鉄分・ビタミンが豊富で疲労回復に効くとされる「しじみ」、暑気払いに小豆を食べると厄よけになるという風習から、あんこで包んだ「もち」などを取り扱うんだって。

でも、あの芳ばしくも柔らかい、うなぎ独特の味わいはなくならないでほしいなぁ。

実はニホンウナギは、すでに国際機関によって絶滅危惧種に指定されてる。稚魚が減少している原因として乱獲や密漁の影響も指摘されていて、資源として守っていく取り組みは欠かせない。それで、今後の規制強化を視野に日本と中国・韓国・台湾が資源量などを分析する科学者による会議を立ち上げることになったんだけど、漁獲量が多い中国が会議を欠席して、あまり議論が進んでいないんだって。

一方で、土用のうしの日にうなぎを食べるというのは確かに日本らしい風習だけど、消費の在り方も今のままでよいのか考えてみる必要があるかもしれない。特定の時期に、あまりに需要が集中することで、生産や流通をゆがめているという指摘もあるの。

そもそも、天然のうなぎの旬は秋から冬だとされているし、養殖ものは一年中おいしく食べられるんだそう。なにより日本の大切な食文化の一部でもあるから、大切に将来の世代にまで引き継いでいきたい。