NEW2018年05月15日

日産が日本の会社じゃなくなる!?

提携関係にある日産自動車とフランスのルノー。ことしに入って「合併するのではないか」という観測が飛び交っています。両社の“合併”が意味するものとは?

日産といえば、ルノーから派遣されたカルロス・ゴーン氏のイメージが強いですが、日産とルノーって、そもそもどういう関係なんでしょうか。

日産は経営危機に陥った20年ほど前に、ルノーから6000億円を超える出資を受けて、傘下に入ったの。今は日産の株式の43%をルノーが保有しているわ。

ルノーが親で、日産が子どもという関係にあるわけだけど、ここにきて2社を完全にくっつける「合併」構想が出てきているの。それを主導していると言われているのがフランス政府。実はフランス政府はルノーの株式の15%を持つ筆頭株主で、経営に口を出せる立場にいるのよ。

フランス政府はどうして2社を合併させようとしているんですか。販売台数でルノーを上回る日産が気にくわないとか…。

フランス政府はこの件について、コメントをしていないので、合併させようとしているのかどうか、実際はよくわからないの。ただ、去年の販売台数でみると、日産が581万台、ルノーは376万台。資本関係では子どもの日産が親のルノーを上回っていて、日産内部では、自分たちのほうがルノーより上という意識が根強いとも言われている。

これに対して、ルノーや株主のフランス政府が警戒感を持っている、という見方も少なからずあるみたい。それに加え、合併に慎重な発言をしてきたゴーン氏が、ルノーの2月の取締役会で再任が決まったときに「提携関係を後戻りさせないようにする」と発言したことも臆測を呼んでいる。ゴーン氏が心変わりして、フランス政府の要望を受け入れたのではないか、という臆測ね。こうした見方から、合併協議という報道が出てきているようなの。

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日産とルノーはすでに生産や調達を一緒にやったりして、提携関係を深めていますけど、合併すると何が変わるんですか。

仮に日産とルノーが合併して1つの会社になると、この会社の本社は海外になる可能性が高い。つまり、日産が日本の会社じゃなくなるかもしれないということね。日産は、その昔、日本の財閥の1つで、会社の名前の由来は「日本産業」というの。まさに日本を代表する会社であり、名門企業といっていい歴史がある。それだけに、日本の会社でなくなるのはプライドが許さないというわけね。それに、本社が海外になるのは、日本政府としても「税収」が減り、痛手だという指摘もあるのよ。

日産は合併構想についてなんと言っているんですか?

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西川社長は記者会見で、合併協議をしている事実はないと否定し、「提携強化の原則は、会社の自立性を尊重しながら最大限のシナジー=相乗効果を得ることだ」と指摘したの。

とはいえ、日産とルノーは切っても切れない関係にある。去年、日産、ルノー、傘下におさめた三菱自動車の3社連合の販売台数が1060万台に拡大し、ついにトヨタを抜いて世界2位に躍り出たの。自動車業界は今後、電動化や自動運転の開発にばく大な開発費が必要になるので、ますます1000万台規模というスケールメリットが大事になる。グループを束ね、いかにシナジーを出していくか。ルノー・日産・三菱自動車のそれぞれの会長を務めるゴーン氏のリーダーシップが鍵を握ることになるわね。