“空飛ぶ車” 現実になる?
ここ数年、世界で急速に開発が進む「空飛ぶ車」。欧米のベンチャー企業などが2020年代の実用化を目指すなか、経済産業省は日本企業の開発を後押ししようと、技術支援や法整備の検討に乗り出しました。空を見上げれば車が飛び交う。そんな夢のような世界が現実になるのでしょうか。
空飛ぶ車って、映画やアニメの世界の話だと思っていました。
私たちが映画で見た、タイヤなしで空中に浮かぶ空飛ぶ車とは少し違うわね。いま開発が進んでいるのは、電動モーターでプロペラを回転させて空を飛ぶ形が一般的。小型のヘリコプターに近く、「人が乗るドローン」と言えばイメージがわくかしら。
アメリカのウーバーやフランスのエアバスといった有名な企業が次々と開発を始めているの。ドイツのベンチャー企業は、中東のドバイでもう実証実験を始めていて、2022年に空飛ぶタクシーの実用化を目指しているんだって。
日本では、どこまで進んでいるんですか?
日本では、トヨタ自動車などが出資する有志団体が開発を進めているぐらいで、ほとんどの企業がおよび腰。開発には多額の投資が必要だし、ビジネスとして成り立つのかどうか不透明、というのが理由なの。
とはいえ、この空飛ぶ車、将来の成長産業に化ける可能性があると経済産業省は見ている。日本はモーターやバッテリーといった基幹技術を持っているでしょ。それなのに、このままだと欧米企業に市場を席巻(せっけん)されかねない。そんな危機感もあるわけね。
そこで、経済産業省は、日本でも空飛ぶ車のビジネスを育てようと、必要な法整備や、技術支援などのバックアップを行う方針を打ち出したのよ。
近い将来、日本でも空飛ぶ車に乗れるようになるんでしょうか?
まだ時間がかかりそうね。いちばんの課題は、安全をどう確保するか。空飛ぶ車が落っこちてきたら大変なことになるでしょ。自動車や飛行機は、製造や運用にあたって安全を担保するための厳格な法制度やルールがあるけど、空飛ぶ車にはまだないの。この点は、国や企業、専門家も交えた十分な議論が必要ね。
空飛ぶ車はビジネスだけじゃなく、災害時や過疎地の移動手段としても普及が期待されている。実用化に向けては、技術の問題はもちろんだけど、それ以上に、どんな使いみちがあるのかも重要なポイントになりそうね。
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