NEW2018年03月05日

目指せ「特A」 ブランド米への道

新潟県魚沼産の「コシヒカリ」といえばブランド米の代名詞。ところが、ことしのお米の「食味ランキング」で、最高ランクから転落してしまい衝撃が広がりました。毎日食べるお米のことなので、このランキングのこと、もうちょっと知りたいです。

魚沼産コシヒカリの転落って、相当な驚きなんですね?

魚沼産コシヒカリは、今のお米の「ランキング」が始まった平成元年から28年間ずーっと、最高の「特A」評価だった、ただ1つのお米だったからね。関係者の衝撃は大きいと思うよ。

全国各地の米どころは、「特A」評価は「ブランド米への入場券」くらい重要に思っているからね。どこも年に1回のランキングに一喜一憂している。

いったい誰が評価しているの?

「日本穀物検定協会」という一般財団法人。ふだんは海外から輸入された穀物の残留農薬の検査などを行っているんだけど、年に1回、職員100人を「食味評価エキスパート」にして、お米を評価しているんだよ。

エキスパート?

協会の人の話では、嗅覚や味覚に異常がない職員を選んで、どんなときでも、ぶれずにお米の味わいを評価できるよう訓練を積ませたスタッフなんですって。

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評価はどんな方法?

複数の産地のコシヒカリをブレンドして、平均的なおいしさの「基準米」をつくる。それと、各産地のお米を食べ比べるんだって。エキスパートには、どの産地のお米かわからないようにして、「味」「香り」「粘り」「硬さ」「外観」「総合評価」の6つの項目で点数をつけてもらう。そして、100人全員の点数を総合して5段階で格付けするの。

最高ランクが「特A(特に良好)」、そのあと、「A(良好)」、「A’(おおむね基準米と同等)」、「B(やや劣る)」、「B’(劣る)」と続くのよ。

今回試験を受けたのは151銘柄のお米。その結果、「特A」になったのは43銘柄。

え? 43銘柄。ずいぶんあるんですね…。「特A」って、数ある銘柄の中から、ほんのひとにぎりの米だけが選ばれるのかと思ってました。

昔は「特A」になるのは10数銘柄だけだったからね。ちょっと多すぎはしない? と思う人がいるのはわかる。協会の人は、全国の米どころが努力して品質に磨きをかけてきたことも大きいのではないか、と解説しているよ。

「特A」だと高値で取り引きされるのかな?

調べてみたけど、ランキングだけで価格が決まるわけではなさそうね。主な29年産米が、農協と卸売業者の間でいくらで売り買いされているかを調べた最新の平均価格がこれ。

平成29年産米の相対取引価格

※価格は玄米60キログラム(農林水産省)

産地

品種銘柄

ランキング

取引価格(円)

1

新潟

コシヒカリ(魚沼)

20,653

2

山形

つや姫

特A

18,121

3

山梨

コシヒカリ

17,668

4

北海道

ゆめぴりか

特A

17,508

5

新潟

コシヒカリ(佐渡)

特A

17,351

6

新潟

コシヒカリ(岩船)

17,331

7

新潟

コシヒカリ(一般)

特A&A

16,904

8

福岡

夢つくし

特A

16,143

9

長崎

コシヒカリ

A’

16,103

10

富山

コシヒカリ

15,913

11

福井

コシヒカリ

特A

15,906

12

福岡

元気つくし

15,875

13

秋田

あきたこまち

特A&A

15,856

14

山形

ひとめぼれ

15,819

15

鹿児島

あきほなみ

特A

15,817

(平均:H30年1月時点)

上位15の銘柄を見ても、「特A」だけじゃない。「A」、「A’」も含まれているのよ。しかもトップは、やっぱり魚沼産のコシヒカリの2万円台。「特A」と「魚沼産」が、このあと、どんな値段になっていくのか、ちょっと注目ね。

全国の産地が特A目指して、お米がおいしくなっていくのは、いいと思うけど、個人的には、安くてたくさん食べられるお米が増えるといいです。

確かに、これだけブランド米競争が激しいと、よそとは少し違うお米づくりを狙うのも必要かもね。例えば、コンビニ弁当のようにレンジで温め直しても香り高いお米とか、カレーにとにかくよく合うお米。フライパンでもおいしく炊けるお米なんてのもありかも。いろんなお米が増えてほしいわね。