NEW2018年02月20日

QR議決権 スマホであなたもモノ言う株主に?

株式会社は誰のものでしょう?
厳密にいうと株主のものです。ですので株主は、株主総会で会社の将来を左右するトップ人事や合併など重要な議案を認めるか、認めないかを決めます。議決権を行使するといいます。
それが、ことし6月から一部の企業でQRコードを使ってスマホでサッと、できるようになるんだそうです。何のためでしょう?

先輩は、確か株式投資をしてますよね。株主総会に行ったり、その議決権というのを行使したりするんですか?

どっちも未経験。
決算の発表が終わると、自宅に株主総会の開催案内が郵送されてくるの。
業績はどうだったのか、株主への配当はいくらになるのか、総会では何が議案になるかは、それで分かる。でも、会社を休んで株主総会に行って議決権を行使する…というのは、なかなか難しいよね。

だから議案に賛成か反対かは、総会に行かなくても、同封される書類に印をつけて送り返せばいいようになっている。一部の企業ではインターネットでも賛否を表明できるようにしているわ。

インターネットでできるんだったら、QRコードって必要ですかねえ?

スマホでできる、っていうのが大きいんじゃないかな。
郵送されてきた書類に印刷されているQRコードを読み取ると、議案の賛否をたずねる画面が表示され、クリックするだけで議決権の行使が完了するそうよ。手軽な感じがしない?

金融庁の調査だと、日本では議決権を行使している個人株主はおよそ3分の1。3分の2の株主は棄権しているの。アメリカでは28%、イギリスでは20%程度だそうだから、日本の個人株主は国際的には、きちんと対応しているほうなの。

でも、金融庁は株主によるチェック機能は、もっともっと高まったほうがいいと考えている。それで「QRコードもいいんじゃないか」となったワケよ。

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でも、個人株主の影響力ってどうなんですか? すべては大株主の意向しだい、なんじゃ…?

確かに。個人株主が議決権を行使してもしなくても、結果は変わらないということが通常は多いのかな。

東京証券取引所などによると、個人の株主が持っている議決権(=株式保有率)は20%くらい。大部分は、外国人投資家とか生命保険会社、投資信託の運用会社などが握っている。年金の資金などの運用を任されたプロの「機関投資家」ね。彼らの賛否でだいたいのことは決まるわね。
でも、ここぞというときに、私みたいな個人の株主が会社の命運を左右することがあるかもね。

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というと?

例えば、いま動いている石油業界の合併。「出光興産」と「昭和シェル石油」が合併を目指しているの。実現するには、株主総会で3分の2以上の賛成を取り付ける必要があるのだけれど、出光の創業家が合併に反対している。28%を超える議決権を集めて対抗していると言われているの。こういう場合は、個人株主が、合併について賛成・反対どちらにつくかが重要になりそうね。

それに経済ドラマや経済小説なんかで、たまにあるでしょ。
ある日突然、こわもての「モノ言う株主」の投資ファンドが会社に乗り込んできて、経営陣と激しく対立。会社の将来をかけ、株主総会でぎりぎりの採決が行われる、というストーリーの物語が。そういう話が現実になったとき、私がスマホで投じた議決権が、最後の決め手になったりして。