経団連会長って偉いの?
経団連の次期会長に日立製作所の中西宏明会長が内定しました。ことし5月末の定時総会で正式に就任する予定ですが、今、どういう役割が期待されているのでしょうか。
そもそも経団連会長ってニュースでよく見るけど、いったいどんな人なの?
経団連は日本を代表する約1350社の会員企業を抱えていて、全国の業界団体も束ねる日本最大の経済団体なのよ。
そのトップである経団連会長は、まさに日本経済の「顔」と言える存在。経済界を代表して政府や与党に政策を提言したり、海外の要人にその国で日本の企業がビジネスをしやすくなるようにお願いしたりするのが仕事なの。
海外出張も多く、ハードな仕事だけど、報酬はゼロ。しかも、必要なスタッフや多額の資金を出さなければいけないの。
そうなると、できる人はずいぶん限られてきそうだけど。
歴代の経団連会長は製造業の企業で社長や会長を務めた人が多いわね。新日鉄、トヨタ自動車、東京電力、キヤノン、誰もが一度は耳にしたことがある大企業の出身者が代々務めてきたわ。
特定の企業の利益から離れて公共のために働く役職だから、叙勲の対象になることもよくあるの。歴代会長の中では、東京電力出身の平岩外四さんやトヨタ出身の豊田章一郎さんが「桐花大綬章」を、キヤノン出身の御手洗冨士夫さんが「旭日大綬章」を、受章したケースなどがあるのよ。
それだけ格式のある役職だってことだね。
政権に対する発言力から「財界総理」と呼ばれることもあるんだけど、最近は影響力の低下が指摘されているよね。
理由の1つが「政治献金」の問題。かつては、経団連が自民党への献金を取りまとめていて、ピーク時の昭和48年には約180億円に上り、それが影響力の源泉にもなっていたの。しかし、「政治とカネ」の在り方が問題になったので、経団連は政治献金のあっせんを廃止して、今は業界や企業の自主的な判断で行うことになっているわ。
一方で、最近、安倍総理大臣から「3%の賃上げ」を要請されたり、政策の財源が足りないと言って3000億円の負担を求められたりして、政府に先手を打たれて経済界が受け入れるという構図が目立つようになってきているの。
そうなると、経団連会長の役割って…
そこがまさに問われていると思うの。日本経済をよくしたい、という思いは、政治も経済も同じなんだけど、細かく見ていくと、意見の違いもある。
例えば、「財政再建」や「社会保障制度の改革」など、国民の痛みを伴う改革。経済界としては、持続可能な社会にするために急いで手を着けるべきだと主張しているけど、選挙を戦う政治家にとっては耳の痛い話とも言える。
日本経済をよくするために、政治と手を組むべきときは組み、言うべきときは言う。経団連会長の手腕に期待したいわね。
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